日中首脳会談 日中関係の新たなスタート 東シナ海「海洋秩序が必要」 日中関係改善の「鍵は相互信頼」

2017年11月11日、ベトナムを訪れている安倍総理大臣は、中国の習近平国家主席と会談した。
両首脳は、「日中関係の新たなスタート」となった会談で、関係改善へ意欲を見せたようだ。
習近平国家主席との会談
ベトナム中部のダナンを訪れている安倍首相は、日本時間の11日午後8時半前から、中国の習近平国家主席と日中首脳会談を行った。会談は、約45分間続いたようだ。
お互いに関係改善に意欲
習主席は、先日行われた衆議院選挙の結果に祝意を示した。
また、衆議院を解散したその当日に、安倍首相らが中国大使館が開いた日中国交正常化45年などを祝う式典に出席したことを評価しているようで、この流れの上で、「より多くの決意と努力により引き続き一緒に前進していきたい」と述べたようだ。
衆院解散の当日に安倍首相が中国主催の式典に出席したことは、安倍首相が中国関係の改善に前向きであるというメッセージを習主席に送ったと思われる。
安倍首相は、中国共産党大会での習主席の再選にお祝いを述べたうえで、以下の通り述べたという。
「来年の日中平和友好条約締結40周年を見据えながら戦略的互恵関係のもと、関係改善を引き続き力強く進めたい。日中両国は地域と世界の安定と繁栄に欠くことのできない大きな責任を有している。特に北朝鮮への対応で連携をさらに深めたい。」
背景には、北朝鮮問題で中国の協力が必要という認識もあると思われる。
政治体制の維持についてお互いに祝意を述べたという点は興味深い。お互いに安定した政治基盤があるからこそ、継続的な関係回復が可能であるとの認識があるようだ。
北朝鮮に対して最大限の圧力を
安倍首相は、北朝鮮に対する圧力を最大限に高めていくことが必要であると従来通り述べた上、国際社会全体で協力するべきであることを伝え、中国にさらなる対応を求めたようだ。
また、朝鮮半島の非核化が両国の共通目標であることを確認したという。
さらに、国連安保理決議の完全な履行を含め、地域の安定のため、緊密に連携を深めていくことで一致した。
東シナ海「海洋秩序が重要」
安倍首相は東シナ海の情勢についても触れ、東シナ海の安定なくして、日中関係の真の改善はない、と指摘。
また、「いかなる地域でも『法の支配』に基づく、自由で開かれた海洋秩序が重要だ」と主張した。
両首脳は、東シナ海を「平和、友好、協力の海」とするべく意思疎通を図ることや、早期に、防衛当局間の海空連絡メカニズムの運用を始めるために協議を加速することを確認した。
両国で協力
安倍総理大臣は、2国間の貿易・投資を促進するだけでなく、日中両国が第三国で協力してビジネスを展開していくことを提案した。
両首脳は、習主席が提唱する経済圏構想「一帯一路」を含め、地域や世界の安定と繁栄に、日中両国がどのように貢献していくのか議論していくことで一致した。
「一帯一路」を成功させたい習主席としても、日本、ひいてはアメリカとの衝突は望ましくないと思われる。
日中韓3か国の首脳会議
両首脳は、先送りになっている日中韓3か国の首脳会議の早期開催を目指していくことで一致した。
さらに、安倍総理大臣は、来年の日中平和友好条約締結40年という節目をとらえ、みずからが適切な時期に中国を訪問することを提案するとともに、習主席の早期の日本訪問を要請した。
中韓、日韓でそれぞれ問題を抱えており、3か国が一度に会談を行うのは、なかなか困難なようだ。
日中間にも問題は山積しているが、お互いに関係を改善する機運は高まっている。
私としては、日中韓3か国よりも、日中間での関係を深めるほうが良いと思うが…。
日中関係の新たなスタート
会談のあと、安倍総理大臣は、このあと訪問するフィリピンで、中国の李克強首相とも会談することを明らかした。
今回ダナンで行われた日中首脳会談は、安倍首相によると「大変友好的な雰囲気の中で、率直に胸襟を開いて意見を交換できた」ようだ。
また、安倍首相は、「会談の締めくくりに、習主席から、『今回の会談は日中関係の新たなスタートとなる会談だった』という発言があったが、私も同感だ」と述べたという。
・『日中首脳 双方が関係改善に意欲』、NHKニュース、2017年11月12日、http://www3.nhk.or.jp/news/html/20171112/k10011220651000.html?utm_int=news-new_contents_list-items_007
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