スペイン語には「男性名詞」と「女性名詞」がある。
そう、人間に「男」と「女」があるように。動物に「オス」と「メス」があるように。
もちろん、スペイン語の「男」を意味する hombre は男性名詞であり、「女」を意味する mujer が女性名詞であることは理解できる。なぜなら、「男」は男性であり、「女」は女性であるから。当たり前か。
そして、「ライオンのオス」を意味する león が男性名詞で、「ライオンのメス」を意味する leona が女性名詞である、ということももちろん理解できる。
でも、「本」を意味する libro が男性名詞で、「雑誌」を意味する revista が女性名詞だ、と言われると、どうにも分からなくなる。
「本」が男で、「雑誌」が女?
なんで?雑誌って、そんなに女性らしいか?
そういうことではない。
男性名詞と女性名詞の区別に理由はない
実は、生物における男女の区別以外には、男性名詞と女性名詞の区別には何の理由や裏付けもないという。
だから、なぜ libro (本)が男性名詞で、revista(雑誌)が女性名詞なのかについて、明確な理由はないのだそうだ。
なので、理屈は抜きに、libro は男性名詞、revista は女性名詞、と覚えておけばよいということだ。
男性名詞と女性名詞を見分ける方法
でも、全ての名詞について、これが男性名詞でこれが女性名詞、みたいな感じで覚えるのは大変そうじゃないか?
だって、名詞の数だけでも、何百、何千とあるんでしょ?気が遠くなりそうだ。
そう思ったアナタ。ご安心を。
実は、「男性名詞」と「女性名詞」を見分ける簡単な方法があるのである! ルール:男性名詞は o で終わり、女性名詞は a で終わる
このルールを上記の libro と revista に当てはめてみると…。
おお、なるほど。
libro は o で終わるので男性名詞、revista は a で終わるので女性名詞、ということですな。
これは分かりやすい。
こんな感じで他の名詞も見てみよう。
ふむふむ。hotel(ホテル) か…。
これは、あれ、o でも a でも終わらないぞ!これじゃ、男性名詞なのか女性名詞なのか分からないじゃないか!
そうなのである。名詞の中には、o でも a でも終わらない名詞も存在するのだ。
性別を暗記しなければならない名詞も存在する
区別する方法がなく、暗記で覚えなければならない語も存在するのである。これは、地道に覚えていくしかないようだ。
ちなみに、hotel(ホテル)は男性名詞である。
補足:
ただ、それでも冠詞や形容詞などで名詞の性別が分かることもある。
またの機会に詳しく説明するが、冠詞にも男性名詞につく冠詞と女性名詞につく冠詞があって、それらの違いによって名詞の性が区別できることもあるのだ。
また、形容詞にも男性と女性の区別があるので、形容詞によって名詞の性別が分かることもある。
まあ、逆に言えば、もし自分が文章を書いたり発言する立場であるなら、名詞の性別が分からないと冠詞や形容詞の性別が分からなくなるということでもあるのだが…。
o や a で終わらない名詞には、他にも以下のようなものがある。
男性名詞: coche(車)、deporte(スポーツ)
女性名詞:llave(鍵)、ley(法律)
気を取り直して、他の名詞も見てみよう。
では、problema(問題)。この名詞は男性名詞だろうか、女性名詞だろうか。
そんなの簡単。a で終わるから女性名詞だろう、と思いがちだが、実は problema は男性名詞なのだ。
o で終わる女性名詞や a で終わる男性名詞もある
先ほど「男性名詞は o で終わり、女性名詞は a で終わる」というルールを紹介したばかりで申し訳ないのだが、このルールには例外もあって、なんと a で終わる男性名詞や o で終わる女性名詞という、逆のパターンも存在するのである!
この逆パターンには困らされるが、幸いこの逆パターンに当てはまる名詞の数はそれほど多くないので、数少ない例外を暗記するという形で覚えていけばよいだろう。
この例外には、以下のようなものがある。
男性名詞:día(日)、problema(問題)
女性名詞:radio(ラジオ)、mano(手)
男性名詞と女性名詞という概念は日本語や英語にはないものだが、慣れるのにそれほど時間はかからないだろう。
性別については、名詞だけでなく冠詞や形容詞も関係してくることになる。スペイン語における大事な概念なのである。