
「日本は学歴社会、アメリカは実力社会」
こんなことが常識であるかのように話す人もいるが、どうやらその常識は妄想であるようだ。
アメリカでも学歴はとても重要である。そんなことを端的に示す問題が起こった。
アメリカの名門大学で不正入学が発覚したのである。富裕層が学校関係者に賄賂などを贈り、自分の子供を不正に入学させたのだという。
この問題で、親や大学関係者ら50人が贈収賄の疑いで逮捕された。
賄賂の総額は約3億円に上るという。
不正入学はどのように行われたか
今回の不正入学の問題には、仲介業者の存在がある。
仲介業者は、大学受験の指導を行う組織を装い、親から集めた金を大学の関係者らに渡していたようだ。
金を受け取った大学関係者は、子供を大学へ推薦したり、テストの点数を水増しするなど行っていたという。
例えば、スタンフォード大学では、経済的な見返りのために、大学の監督が大学への推薦を行っていたという。
不正が行われた大学は
不正が行われた大学には、イェール大学やスタンフォード大学など日本でも有名な大学が含まれる。
不正には有名女優も関わっていた
不正入学を依頼していた親には、女優であるロリ・ロックリン(Lori Loughlin)とその夫も含まれている。
ロリ・ロックリンは、日本でも放送された『フルハウス』で主人公の妻であるレベッカを演じた有名女優だ。
格差社会は根強い
去年、日本では医学部の入試において、男性と女性とで差別があるということが報じられ、物議をかもした。
この日本の例は、男女の性別による差別であるが、今回のアメリカの不正入学問題は、経済的な格差による差別ともいえる。
今回のような不正入学の問題が起こる背景には、やはり「学歴」というものが社会において大きな意味を持つという事実があるからであろう。
言うまでもなく、一番の被害者は、賄賂を行ったズルい人間のために入学できなかった生徒である。
不正に関与した人間には、法律的な罰と共に社会的制裁が与えられるのは当然だろうが、ズルい人間のために苦渋をなめた生徒の救済も行ってほしいものだ。
アイビーリーグの入り方 アメリカ大学入試の知られざる実態と名門大学の合格基準
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参考資料:
『アメリカ 名門大学7校で不正入学か 贈収賄容疑で50人逮捕』、NHKニュース、2019年3月13日、https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190313/k10011846161000.html?utm_int=news-new_contents_list-items_006