うかんむり(ウ冠)と「龍」という漢字を組み合わせると「寵」という漢字になる。
この「寵」という漢字をご存じだろうか。
「寵愛」や「寵児」などの言葉でよく使われるが…。
今回は「寵」という漢字について紹介しよう。
「寵」の読み方(音読み・訓読み)
「寵」の音読みは「チョウ」である。
また、「寵」の訓読みは「めぐ(む)」、「めぐ(み)」、「いつく(しむ)」である。
ただ、「寵」は、もっぱら音読みの「チョウ」で使われることが多い。
「寵」の意味
「寵」の意味は以下の通りだ。
①かわいがる。めぐむ。いつくしむ。
②めぐみ。いつくしみ。
それでは、「寵」を使った言葉を見ていこう。
「寵愛」とは 読み方と意味
「寵愛」は「チョウアイ」と読む。
「寵愛」は、「特別にかわいがること」という意味だ。
歴史小説などでよく出てくる言葉で、例えば「将軍の寵愛を受ける」などのように、偉い人から特別可愛がってもらう、という意味合いで使われる。
「寵姫」とは 読み方と意味
「寵姫」は「チョウキ」と読む。
「君主や王様に特に愛されている女性」とか「愛妾」という意味だ。
「寵姫」は国を亡ぼす象徴として描かれることもある。
寵姫「褒姒」の話
寵姫の例として、「褒姒(ほうじ)」の話は有名だ。
褒姒は、古代中国の西周という国の王様、「幽王」の寵姫であった。
褒姒は、全く笑わない女性だった。
幽王は色々な手を講じて褒姒を笑わそうと試みたが、あらゆる努力は実らなかった。
ところが、一度、何かの手違いで有事を知らせる狼煙が上がり、諸侯が各地から幽王の元へ馳せ参じるということが起こった。
当然、諸侯は肩透かしを食らったわけだが、これを見た褒姒が、幽王の前で初めて笑ったのである。
これに気を良くした幽王は、それからというものの、何度も狼煙を上げさせたという。そして、慌てて諸侯が幽王の元へ駆けつけるのを見る度、褒姒は笑ったのである。
そのうち、本当に異国の敵の大軍が幽王の領土へ攻めて入ってきた。幽王は、諸侯の助けを求め、緊急を知らせる狼煙を上げさせた。
しかし、またイタズラだと思った諸侯は、誰一人として幽王の元へ馳せ参じることはなく、孤立無援の西周は滅びた、ということだ。
いわば、「オオカミ少年」の古代中国版である。伝説的かつ神話的な故事で、史実かどうかは分からない。
「寵児」とは 読み方と意味
「寵児」は「チョウジ」と読む。
「寵児」の意味は以下の通り。
①親に特にかわいがられている子供。
②時流などに乗って、世間から持て囃されている人。人気者。売れっ子。
よく使われる表現に「時代の寵児」というものがある。
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-参考資料-
・『DK漢字辞典』・公益財団法人日本漢字能力検定協会編、『漢検 漢字辞典 第二版』
・阿辻哲次、他、『角川 現代漢字語辞典』、2001年1月31日
・藤堂明保、他偏、『漢字源 改訂第六版』、2018年