「物」という漢字の右側は「勿」という形ですが、この文字はそれだけで1つの漢字として使われる、って知っていましたか。
さて、この漢字「勿」はどういう意味なのでしょうか。
実は、この漢字を使った言葉は日常的によく使われます。ただ、漢字を使って書かれることはあまりありません。
今回は「勿」という漢字についてご紹介しましょう。
「勿」の読み方・発音 音読みと訓読み
「勿」は、音読みで「モチ」、「ブツ」と読みます。
また、「勿の訓読みは「なか(れ)」です。
「勿」の意味と部首
「勿」は、「なかれ」という意味を表す漢字です。
「なかれ」とは、「…するなかれ」という風につかわれ、これは昔の言い方で「…してはいけない」という意味になります。
例えば、旧約聖書には「偽証するなかれ」という文言があります。簡単にいえば、「嘘をついたらだめ」という意味ですね。
このように、「なかれ」は「…してはいけない」という禁止を表す助字です。
「助字」とは、助詞のようなものです。
また、「勿」は「ない」とか「なし」という否定を表す助字としても使われます。「不」とか「無」と同じような意味合いですね。
なお、「勿」の部首は「つつみがまえ」と呼ばれるもので、「包」や「匂」と同じ部首です。
それでは、「勿」を使った言葉の例を見てみましょう。
「勿論」とは 読み方と意味
「勿論」は「モチロン」と読みます。
意味は、もちろん、「言うまでもなく」という意味です。
「勿論」には「無論」という別の言い方もあります。両方同じような意味ですが、「無論」の方は、より文語的な表現です。
「勿体」とは 読み方と意味
「勿体」は「モッタイ」と読みます。
「ものものしいようすや態度」という意味です。
「勿体をつける」というと、「わざと重々しく見せる」とか「ものものしくみせる」という意味になります。
「勿体ぶる(もったいぶる)」という風につかわれることもありますね。
なお、「勿体」は「物体」と書かれることもあります。ただ、「物体」は基本的に「ぶったい」と読まれますので、「もったい」という読みで使う場合は「勿体」の方を使う方が良いでしょう。
「勿体無い」とは 読み方と意味
「勿体無い」は、「もったいない」と読みます。
「無駄にするのは惜しい」という意味です。
「この机、まだ使えるのに捨てるなんて勿体無い」という風に使われますね。
この「勿体無い」という言葉を「MOTTAINAI」として世界に広めよう、という風潮が一時ありましたね。ケニア出身でノーベル平和賞を受賞したワンガリ・マータイさんが提唱していました。
また、「勿体無い」には「おそれ多い」という意味もあります。
「私には勿体ない話です」という風に使いますね。
地名「勿来」の読み方
「勿来」と呼ばれる地域があるのを知っていますか。
この「勿来」は「なこそ」と読みます。
福島県の南端に位置し、茨城県の隣にあります。
この勿来には、勿来火力発電所があります。
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-参考資料-
・『DK漢字辞典』・公益財団法人日本漢字能力検定協会編、『漢検 漢字辞典 第二版』
・阿辻哲次、他、『角川 現代漢字語辞典』、2001年1月31日
・藤堂明保、他偏、『漢字源 改訂第六版』、2018年