「小正月」を聞いたことがあるだろうか。「こしょうがつ」と読む。
通常、私たちが「正月」と呼ぶのは、実は「大正月」と呼ばれるもので、「小正月」というものも存在する。
つまり、正月には2種類あったわけだ。
それでは、「小正月」とは一体何なのだろうか。
小正月とは?
小正月とは、簡単に言えば、「昔の正月」といえる。
日本では、奈良時代に中国の暦法である太陰太陽暦が導入される前は、「望(もち)」を基準として月を数えていた。
「望」とは、「満月」のことを指し、陰暦では15日を指す。つまり、昔の日本人は、15日から次の月の15日までを1ヵ月として暮らしていたのだ。
太陰太陽暦が導入され、朔旦正月が年始と定められた後も、依然、農村部での正月は1月15日だった(これを「望正月」という)。
明治5年(1872年)に太陽暦が採用され、年初が元日に移った後でも、やはり重要な正月行事は望正月に集中していた。
小正月は、この「望正月」の名残りなのである。
小正月はいつ?
小正月は、1月15日、もしくはその前後の日だが、行事は1月11日から20日の終わりまで続くようだ。
様々な行事があるが、有名なものは以下のとおり。
・なまはげ
・かまくら
・左義長(さぎちょう)
・ドンド焼き(ドント焼き)
・餅花
・粥占(かゆうら)
・綱引き
・小豆粥
小豆粥とは何か 古来の不妊治療?
「小豆粥(あずきがゆ)」とは、1月15日に炊く粥のことだ。
その名の通り、煮た小豆を混ぜたおかゆのこと。
この小豆粥を炊く際に使った木で、女の尻をたたくと子供ができるといわれたそうだ。
いわば、古来の不妊治療というべきものだろうか。まあ、治療というよりも縁起物に近いが。
それでも、この時ばかりは、行儀や作法に厳しい宮中であっても、女の尻を打つという無礼講が許されたようだ。
清少納言の『枕草子』にもこの小豆粥で使った木で女の尻を打つ描写があるという。
なお、上に述べた「粥占」で使われるのも小豆粥だ。