2018年8月31日、大手電線メーカーで「電線御三家」の一角である「フジクラ」は、検査などについて不正が見つかったことを発表した。
不正の詳細
「フジクラ」は、電線や通信ケーブルなどの製品の一部について、取り決めに従った品質検査を行わないまま、製品を出荷していたという。
顧客との間で取り決めた検査項目の一部を省いたり、試験や検査の書類に虚偽の結果を記載したりした不正が、合計70件確認されたようだ。
こういった不正は、フジクラ本社や子会社合わせて10カ所の拠点で行われていたようだ。また、古いものは、31年前の1987年に行われたものだったという。
防衛省にも納入
品質不正が確認された製品は、少なくとも66の取引先に納入されており、その中には防衛省も含まれているという。
ただ、これまで安全上の問題は確認されていないようだ。
2017年12月には不正を把握
会社は、この不正の可能性について、2017年12月には把握していたという。
不正を把握してから発表まで実に8か月以上かかっていることになるが、この点についてフジクラの伊藤雅彦社長は「隠蔽の意図は全くない」とコメントしたようだ。
フジクラ
電線大手。「電線御三家」の一角。証券番号は<5803>。
株価への影響
2018年8月31日の「フジクラ」の株価は 686円で、前日比+10円(+1.48%)。
今回の発表が大引け後に行われたということもあり、本日の株価には影響がなかったようだ。
カンタはこう思う
今回のような不正の発表など、会社に大きな影響を与えるような発表は、たいてい金曜日の大引け後に行われるが、今回もその例に漏れなかった。
本日の株価に影響はなかったようだが、来週月曜日の寄り付きに投資家がどのように反応するか、注目である。
なお、不正自体は、会計上の不正に比べればそれほど重大なものではないと感じるし、安全上の問題も出ていないようだが、不正を行っていた、という事実自体が投資家心理にどのような影響を与えるだろうか。
フジクラの株価は、ここ数日かなり好調に推移していたが、今回の不正の発表は、こういった上昇ムードに水を差すことになりそうだ。
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-参考資料-
・『電線メーカー「フジクラ」検査など不正70件 防衛省にも納入』、NHKニュース、2018年8月31日、https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180831/k10011603031000.html?utm_int=news-new_contents_list-items_002・『フジクラが品質不正、73品種を66社超に販売』、日本経済新聞電子版、2018年8月31日、https://www.nikkei.com/article/DGXMZO3482590031082018000000/