年齢を重ねるにつれ、「言葉」というものの重みをひしひしと感じるようになった。
昔から日本では「言霊」と呼ばれるものがあるが、霊的な意味ではなく、本当に「言霊」は存在するのだと思う。
やっかいなことに、言葉は一度放たれると、それを引っ込めることはできない。「無かったこと」にはできないのだ。
失言によって人生を狂わされた人も多い。最近では、特に有名人が不用意な言葉を発したために「炎上する」というのが当たり前になってきている。
失言を防ぐにはどうしたらよいのか。
この記事では「3つの門テスト」と呼ばれるものを紹介したい。
「3つの門テスト」とは何か
「3つの門テスト」とは、ロビン・シャーマが、自身の著書『3週間続ければ一生が変わる』で紹介しているテクニックだ。
⇒自分を変えたい人におすすめの本『3週間続ければ一生が変わる』ロビン・シャーマ
このアイデア自体は、昔の賢人たちが生み出したもので、シャーマのオリジナルのアイデアではないようだが、シャーマが「3つの門テスト」と呼んでいるものだ。
この「3つの門テスト」とは、言葉を発する前に心がける「3つの約束事」みたいなものである。
なかなか良いアイデアだと思うので紹介したい。
それでは、さっそく見ていこう。
1つ目の門:「これらの言葉は真実か?」
最初に考慮するのは、これから発する言葉が「真実かどうか」だ。
言わずもがな、だが、これを疎かにする例は多い。そして、意図的であろうとなかろうと、発した言葉の内容が真実でなかった場合、新たな問題を生むことになる。
最近では、ツイッターなどで、情報が真実であるかどうかを確認しないまま、広げてしまう例もある。本人は、善意で人々に知ってもらおうと情報を拡散することも多いのだが、後でその情報がフェイクであると判明すると、大ごとになることもある。
気を付けたいところだ。
2つ目の門:「これらの言葉は必要か?」
果たして、これから発する言葉が必要かどうか、というのを見極めるのは難しい。人は、往々にして、感情から言葉を発することが多いからだ。
そのため、この2つ目の門では、自分の精神力と知力が試されるものとなるだろう。
3つ目の門:「これらの言葉に思いやりはあるか?」
これから発する言葉が、果たして相手にとって思いやりとなる言葉なのだろうか。たとえ、相手を憎んでいる場合でも、相手を攻撃する言葉は、自分に跳ね返ってくる。
日本で「倍返し」なんていう言葉が流行っているが、自分が「倍返し」をすると、その更に倍になって自分に返ってくる可能性があることを忘れてはならない。
相手を思いやる言葉を発すれば、それは少なくとも自分の精神を汚すことにはならない。相手がその言葉を悪くとってこちらを非難してきたとしても、それはあなたの考えることではなく、相手の問題である。
私が、この3つの門テストが良いと思う理由は、3つの門それぞれの考え方もさることながら、これらを考えることで自分自身が冷静になれる時間を持つことができるからだ。
「覆水盆に返らず」ということわざがある。言葉は、まさにこぼしてしまった水である。もう元に戻すことはできない。
言葉を発する前に、「3つの門」を試してみるのも良い方法だろう。