草冠(くさかんむり)に矛と書いて、「茅」という漢字があります。
さて、この漢字「茅」をご存知ですか。
「茅葺」などで使われます。
「茅」の読み方 音読み・訓読み
「茅」の音読みは「ボウ」です。
また、「茅」の訓読みは「かや」「ち」「ちがや」です。
「茅」の意味
「茅」は、「かや」、つまり「ちがや、ススキ、スゲなどのイネ科やカヤツリグサ科の多年草」の総称です。
「茅」は、屋根を葺くのに使われます。
俳句では、秋の季語としても使われます。
「茅潜」とは 読み方と意味
「茅潜」は「かやくぐり」と読みます。
イワヒバリ科の鳥のことで、日本特産種です。全長14cmほどの小鳥です。
「日本特産種」とは、つまり日本でしか見られない、ということですね。
高山の針葉樹林や、ハイマツ帯で繁殖し、冬は本州以南の低地に移動します。
全身はほぼ褐色で地味な色合いをしています。スズメと同じような大きさで、色も似ている部分があるので、並べられたらすぐには見分けられないかもしれませんね。
「チリリリ…」と鈴のような、か細い美しい声で鳴きます。癒される声です。
なぜ「茅潜」という名前が付けられたかというと、地上の虫や草木の種をエサとしているため、低木の間や草むらをくぐり歩くからだそうです。
「茅葺」「茅葺き」とは 読み方と意味
「茅葺」「茅葺き」は、「かやぶき」と読みます。
かやで屋根を葺くことや、そういった屋根を意味します。
「茅葺屋根」はよく耳にしますね。
昔の日本の家屋は、茅葺屋根が多かったのです。2021年現在、茅葺は「伝統建築工匠の技」の一つとしてユネスコ無形文化遺産に登録されています(2020年11月17日に登録)。
日本で現存する最古の茅葺屋根を持つ民家が、兵庫県神戸市にあるそうです。「箱木家住宅」(一般には「箱木千年家(はこぎせんねんや)」)と呼ばれるもので、なんと室町時代に建てられたそうです。現在は、国の重要文化財となっています。
また、茅葺屋根の民家が集まる集落として、合掌造りの「白川郷」が有名ですね。「白川郷」は1995年にユネスコ世界遺産(文化遺産)に登録されました。
「茅渟鯛」とは 読み方と意味
「茅渟鯛」は「ちぬだい」と読みます。
「クロダイ」の別称です。「チヌ」とも呼ばれます。
「茅渟」は、大阪府南部で、昔「和泉(いずみ)」と呼ばれていた場所の古い名前です。
「茅屋」とは 読み方と意味
「茅屋」は「ぼうおく」と読みます。
「かややわらで葺いた屋根」や「その屋根をもつ家」という意味です。「茅舎(ぼうしゃ)」とも言います。
また、「茅屋」は「粗末な家」とか「みすぼらしい家」という意味もあります。「あばら家」と同じような意味です。
そのため、自分の家のことを「茅屋」と謙遜して言う場合もあります。
オススメの漢字辞典
今回の記事はどうでしたか。もし興味深く読んでいただけたなら、とても嬉しいです。
日本にはとても数多くの漢字があります。そして、漢字辞典を読むたびに新たな発見があります。
そんな奥深い世界に触れてみませんか。
私がオススメする漢字辞典をリストアップしましたので、ぜひご覧ください。
また、当ブログでは、私がオススメする漢字辞典ほどではありませんが、漢字や日本語に関する様々なトピックを掲載しております。
ぜひご覧ください。
↓
「カンタの日本語事典」トップへ
-参考資料-
・『DK漢字辞典』・公益財団法人日本漢字能力検定協会編、『漢検 漢字辞典 第二版』
・阿辻哲次、他、『角川 現代漢字語辞典』、2001年1月31日
・藤堂明保、他偏、『漢字源 改訂第六版』、2018年