育児をしていると、乳児に与える食べ物がとても気になります。
特に、蜂蜜は、食品として一般に売られていることから、つい子供にとっても安全なものと思ってしまいがちです。
今回は、蜂蜜を乳児に与える際の注意点についてまとめました。
ハチミツは生後1年経ってから
蜂蜜は基本的に1歳以下の乳児に与えてはいけません。
これは、おそらくどのハチミツ商品にも注意書きされていると思います。
なぜ1歳未満の乳児にハチミツを与えてはいけないのか、というと、蜂蜜にはボツリヌス菌が含まれている可能性があるからです。
ボツリヌス菌で汚染された蜂蜜を食べてしまった乳児は、「乳児ボツリヌス症」にかかる可能性があり、最悪の場合は死に至る可能性もあります。
乳児ボツリヌス症とは
乳児ボツリヌス症は英語で infant botulism といいます。
ボツリヌス菌(Clostridium botulinum、the botulinus bacterium)自体は、自然界に常在します。
通常は土壌中に存在するが、蜂蜜に含まれていることもあるのです。
通常は、1歳を越えた人体では、大腸の腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう、「腸内フローラ」)が形成されるため、ボツリヌス菌は増殖できません。
ところが、1歳未満の乳児は消化器官が未熟であるため、ボツリヌス菌で汚染されたハチミツを摂取してしまうと、菌が腸内で繁殖してしまう恐れがあるのです。
そのため、蜂蜜の容器には注意書きが書かれてあるわけです。1歳未満の乳児にハチミツを食べさせてはならないのです。
2017年には、この「乳児ボツリヌス症」で乳児が死亡するという痛ましい事故がありました。
「乳児ボツリヌス症」の事例
2017年4月7日、東京都は、乳児が「乳児ボツリヌス症」で死亡したことを発表しました。
死亡した乳児は、東京都足立区に住む生後6か月の男児です。
男児の親は、今年1月からジュースに市販のはちみつを混ぜたものを1日平均2回ほど乳児に与えていたそうです。
2月16日にせきなどの症状が出て、同20日に病院に搬送されたものの、3月30日に死亡してしまいました。
便や自宅の蜂蜜からボツリヌス菌が検出されたそうです。
1か月以上病院で入院していたようです。親は後悔してもしきれないでしょう。改めて、「正しい知識を持つ」ことの重要さが認識されます。
なお、乳児ボツリヌス症は、国立感染症研究所に記録が残る1986年以降で、国内で発症が確認されたのは、今回の事故で36症目で、死亡したのは今回が初めてだということです。
乳児に対しては、特に口に入れるものに関しては、慎重になり過ぎることはありません。
少しでも疑問に思ったり、分からないと思ったら、調べるなり周りの人に相談するなりすべきでしょう。