2017年11月1日、オーストラリア政府は、「エアーズロック」の名前で知られるオーストラリアの巨大な一枚岩「ウルル」の岩登りを禁止することを発表した。
「ウルル」の岩登りの禁止
「ウルル」の岩登りは、2019年10月26日から禁止されるようだ。
禁止の理由
禁止の理由として、主に以下の2点が挙げられている。
・「ウルル」を聖地とする先住民アボリジニの人たちが反発している。
・岩に登りたいという観光客が減少している。
ウルル登山を希望する観光客は減少している?
オーストラリア政府によると、岩に登りたいという観光客は1990年代初めには74%であったものの、最近では16%にまで減少しているという。
観光資源をどうするか
「エアーズロック」に登りたいという観光客は減ってきているようだが、それでも年間約30万人が「ウルル」を訪れるという。
そして、これまでも「ウルル」の岩登りを禁止することを検討してきたものの、観光客が減る恐れがあるとして、見送られてきた。
今回岩登りの禁止に踏み切った理由として、アボリジニの文化体験など、岩登りの代わりとなる観光資源も整ってきていることがあるという。
そのため、岩登りを禁止したとしても、観光業への影響はないと判断したようだ。
「ウルル」とは
「ウルル」は、英語で Uluru と書く。
オーストラリア大陸のほぼ中央に位置する、世界で2番目に大きい一枚岩だ。ちなみに、世界で一番大きい一枚岩は「マウント・オーガスタス」である。
「エアーズロック(Ayers Rock)」は、イギリスの探検家によって名付けられたもの。南オーストラリア植民地首相のヘンリー・エアーズにちなんでいる。
日本では「エアーズロック」の方が馴染みがあるが、オーストラリアでは一般に Uluru の名称の方がよく使われる。
1987年にユネスコの世界遺産に登録されている。
カンタはこう思う
「ウルル」は、アボリジニにとって、聖地であると同時に、貴重な収入源でもある。
アボリジニにとって限られた人しか立ち入ることができない「聖地」が観光地として使用されている現状は、確かにアボリジニにとっては苦々しいものだろう。
それでも、当のアボリジニ達が観光をしぶしぶながらも認めてきた背景には、上述の経済的事情があるようだ。
さて、今回、岩登りが禁止されることになった背景には、やはりオーストラリア政府によるアボリジニへの配慮があったこともあるだろうが、実際の所観光業への影響が軽微だと判断したからかもしれない。
そして、禁止されると分かっていたら、是非行きたくなるもの。これから観光客は増えるかもしれない。
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参考資料:
・『豪州「エアーズロック」の岩登り 2年後に禁止へ』、NHKニュース、2017年11月1日、http://www3.nhk.or.jp/news/html/20171101/k10011207141000.html?utm_int=all_side_ranking-social_001