手偏(てへん)に少ないと書いて、「抄」という漢字があります。
例えば、「抄本」といった言葉で使われる漢字です。
今回は、漢字「抄」について学びましょう。
「抄」の読み方 音読み・訓読み
「抄」の音読みは「ショウ」、常用外で「ソウ」です。
また、「抄」の訓読みは「うつ(す)」「す(く)」「すく(う)」「かすめ(る)」です。
「抄」の意味
「抄」には「うつす」とか「抜き書きする」という意味があります。
この意味においては、「抄」は後述する「抄本」といった言葉で使われます。
また、「抄」には「紙をすく」という意味もあります。
「抄く(すく)」とは、「水に溶かした原料を簀(す)といった道具の上に薄く広げる工程を行う」ことを意味します。
「簀」は、「すだれ(簀垂)」などに使われる漢字で、竹などを編んで作る敷物などのことです。
また、「すのこ」は「簀の子」と書きます。
和紙の伝統的な作り方では、簀の子を使います。
「抄出」とは 読み方と意味
「抄出」は「しょうしゅつ」と読みます。
「抄出」の意味は、「ある書物から抜き書きすること、もしくは抜き書きした部分」です。
「抄本」とは 読み方と意味
「抄本」は「しょうほん」と読みます。
「抄本」とは、「必要な一部分を抜き書きした本」という意味です。
また、「元の書類から一部分を抜き書きしたもの」という意味もあります。
現代では2番目の意味で使われることが多く、特に「戸籍抄本」でよく目にする言葉ですね。
この「抄本」の対義語が「謄本(とうほん)」で、「謄本」は書類の全体を写したものを指します。
「抄訳」とは 読み方と意味
「抄訳」は「しょうやく」と読みます。
「抄訳」の意味は、「原文の一部分のみを翻訳すること、もしくはその翻訳した部分」です。
「抄訳」の対義語としては、「完訳」や「全訳」などがあります。いずれも「原文すべてを翻訳する」という意味です。
例えば、マルセル・プルースト『失われた時を求めて』といった大長編の小説などは、抄訳版が売られていたりします。
フランス語原著を見たことがありますが、辞書並み(それ以上?)の分厚さです。
一生に一度は読破してみたいものです。
「抄録」とは 読み方と意味
「抄録」は「しょうろく」と読みます。
「抄録」とは、「原文から必要または大切な部分を抜き書きすること、もしくはその抜き書きした部分」という意味です。
オススメの漢字辞典
今回の記事はどうでしたか。もし興味深く読んでいただけたなら、とても嬉しいです。
日本にはとても数多くの漢字があります。そして、漢字辞典を読むたびに新たな発見があります。
そんな奥深い世界に触れてみませんか。
私がオススメする漢字辞典をリストアップしましたので、ぜひご覧ください。
また、当ブログでは、私がオススメする漢字辞典ほどではありませんが、漢字や日本語に関する様々なトピックを掲載しております。
ぜひご覧ください。
↓
「カンタの日本語事典」トップへ
-参考資料-
・『DK漢字辞典』・公益財団法人日本漢字能力検定協会編、『漢検 漢字辞典 第二版』
・阿辻哲次、他、『角川 現代漢字語辞典』、2001年1月31日
・藤堂明保、他偏、『漢字源 改訂第六版』、2018年