貝偏(かいへん)に乏しいと書いて、「貶」という漢字があります。
この漢字「貶」は、最近特にネット上で見かけることが多くなった印象です。
「貝」に乏しいとか貧乏の「乏」を組み合わせたような漢字です。
「貶める」といった言葉で使われることが多いですね。
今回は、漢字「貶」について学びます。
「貶」の読みと意味
「貶」は音読みで「ヘン」と読みます。
例えば、「褒貶(ホウヘン)」などの言葉はこの音読みで使われますね。
また、「貶」は訓読みで「おとし(める)」、「お(とす)」、「しりぞ(ける)」、「けな(す)」、「そし(る)」、「さげす(む)」、「へ(らす)」と読みます。
「貶」の意味
「貶」の意味としては、以下の通りです。
①(地位・身分などを)おとす。しりぞける。
②おとしめる。けなす。そしる。相手のことを悪く言う。
現在では、特に②の意味合いで使われることが多くなった印象です。
特にネット上で、匿名の言い争いなどが起こった場合に、「貶める(おとしめる)」とか「貶す(けなす)」という言葉が使われることがありますね。
ネットの普及に伴って使用頻度が上がった漢字ではないでしょうか。漢字検定では1級の漢字なのですが。
このようなネガティブな意味合いの漢字が流行るというのも嫌なものです。
それでは、「貶」を使った言葉の読みや意味を見ていきます。
「貶める」の読みと意味
「貶める」は、「おとしめる」と読みます。
「相手を見下げたり、自分よりも劣った者として馬鹿にする」といった意味です。
「人を貶めたような言い方」といった使い方をします。
「貶す」の読みと意味
「貶す」は「けなす」と読みます。
「相手のことを悪く言う」、「けちをつける」といった意味です。
「貶む」の読みと意味
「貶む」は「さげすむ」と読みます。
「相手を自分よりも価値や能力の劣っている者として見下す」、「軽蔑する」といった意味です。
「貶む」よりも「蔑む」の方が一般的に使われます。「貶」を使う場合は、同じ意味の「貶める」の方が使われる印象です。
「貶竄」の読みと意味
「貶竄」は「ヘンザン」と読みます。
「官位を下げて、遠方へ追放すること」を意味します。
「貶謫 (ヘンタク) 」や「貶流 (ヘンリュウ・ヘンル) 」も同じ意味です。
「貶斥」の読みと意味
「貶斥」は「ヘンセキ」と読みます。
「官位を下げてしりぞける」といった意味です。
「貶退(ヘンタイ)」や「貶黜(ヘンチュツ)」も同義語です。
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-参考資料-
・『DK漢字辞典』・公益財団法人日本漢字能力検定協会編、『漢検 漢字辞典 第二版』
・阿辻哲次、他、『角川 現代漢字語辞典』、2001年1月31日
・藤堂明保、他偏、『漢字源 改訂第六版』、2018年