土偏(つちへん)に「将」の右側をくっつけると、「埒」という漢字になります。
さて、この「埒」という漢字をご存知でしょうか。
「不埒」などで使われますが…。
「埒」の読み方 音読みと訓読み
「埒」は、音読みで「ラチ」、「ラツ」と読みます。
また、訓読みは「かこ(い)」です。
ちなみに、無理やり連れ去られる、という意味の「ラチ」は「拉致」と書きますので、この「埒」は関係ありません。
「埒」の意味
「埒」は、「かこい」や「しきり」、または「範囲」という意味です。
「けじめ」という意味合いもあるようです。
それでは、「埒」を使った例を見ていきましょう。
「不埒」とは 読み方と意味
「不埒」は「フラチ」と読みます。
「法や道理などから外れて、無礼なこと」という意味です。「この、不埒者!」みたいな感じで使われますね。
「不埒を働く」という言い方もします。
「不埒」は、「不届き」とか「けしからぬこと」と同じような意味です。
「放埓」とは 読み方と意味
「放埓」は「ホウラツ」と読みます。
「自分勝手にふるまうさま」という意味で、酒や女性にふけるような様子を意味することもあります。
素行が悪い、という意味もありますね。
「放埓な生活」といった形で使います。
「埒」という漢字には、上述のとおり、「囲い」という意味があります。「放埓」は、馬が囲いを飛び越える、ということから来ています。
同義語に「放蕩(ほうとう)」、「放恣(ほうし)」、「放縦(ほうじゅう)」、「放逸(ほういつ)」などがあります。中でも、「放蕩」については「放蕩息子」なんていう言葉もあります。
関係ありませんが、私が「放蕩息子」という表現に初めて出会ったのは、浦沢直樹の漫画『YAWARA!』です。
この『YAWARA!』に出てくる猪熊治五郎という元気なおじいちゃんが、自分の息子のことを「放蕩息子」と詰っていたのです。
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「埒が明かない」とは 読み方と意味
「埒が明かない」は「ラチがあかない」と読みます。
これは、「埒が明く」という表現の否定語という位置づけですが、「埒が明く」よりも「埒が明かない」の方がよく使いますね。
「埒が明く」とは、「物事の決着がつく」とか、「はかどる」という意味です。つまり、「埒が明かない」は、「物事が進まない」、「きまりがつかない」という意味となりますね。
「埒外」とは 読み方と意味
「埒外」は「ラチガイ」と読みます。
物事の決められた一定の範囲、という意味です。
例えば、「常識の埒外」という風に使います。
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-参考資料-
・『DK漢字辞典』・公益財団法人日本漢字能力検定協会編、『漢検 漢字辞典 第二版』
・阿辻哲次、他、『角川 現代漢字語辞典』、2001年1月31日
・藤堂明保、他偏、『漢字源 改訂第六版』、2018年