木偏(きへん)に「己」と書いて、「杞」という漢字があります。
さて、この漢字「杞」を知っていますか。
「杞憂」という言葉で使われる漢字です。
「杞」の読み方 音読みと訓読み
「杞」の音読みは「キ」、「コ」です。
また、訓読みは「くこ」、「おうち」、「かわやなぎ」です。
クコ(枸杞)とは
「くこ」は、植物の名前で、「クコ」とカタカナで書かれることが多いです。なお、上の述べたように、「杞」は訓読みで「くこ」ですが、漢字で「クコ」を書く際には「枸杞」と書かれることが多いようですね。
「クコ」は、ナス科の落葉低木で、東アジア原産です。
葉や実は飲料や食用となるほか、根は漢方薬で使われるなど、人間にとってとても有用な植物です。
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「杞憂」とは 意味と読み方
「杞憂」は「キユウ」と読みます。
「杞憂」の意味は、「心配しなくてもよいことについて、悩み、憂え、心配してしまうこと」です。「取り越し苦労」と似たような意味ですね。
なぜ、「杞憂」がこのような「取越し苦労」という意味で使われるようになったのでしょうか。
それは、『列子』に記載された以下の故事によるものです。
昔、古代中国に「杞」という国があったのですが、この国にとても心配性の人がいました。
この人は、「天地が崩れてしまうとどうしよう」とありもしない事について、寝食を忘れるほど心配していたそうです。
しかし、この心配性の人は、友人から天地が崩れないということを説明されて、一転、心配しなくなったそうです。
「杞憂」は、この故事から来ています。「杞の人の憂い」ということから、「杞憂」という言葉ができたということですね。
それにしても、一時は寝食を忘れるほど心配していたのに、友人から説明されただけで心配のタネがなくなるだなんて、杞憂の語源となった人は実は楽観的な人だった、ともいえるかもしれませんね。
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-参考資料-
・『DK漢字辞典』・公益財団法人日本漢字能力検定協会編、『漢検 漢字辞典 第二版』
・阿辻哲次、他、『角川 現代漢字語辞典』、2001年1月31日
・藤堂明保、他偏、『漢字源 改訂第六版』、2018年