「むげに断る」という表現を聞いたことがあるだろうか。
例えば、「あの人の頼みをむげに断ることはできない」という風に使われる。
また、似たような意味の表現に「むげにする」というものもある。
では、この「むげに断る」や「むげにする」の「むげ」とは一体どう意味なのだろうか。
また、「むげ」を漢字で書くと、正しいのは「無下」と「無碍」、どちらが正しいのだろうか。
「むげに断る」の意味
「むげに断る」とは、「そっけなく断る」とか「冷たく断る」という意味だ。
「むげに断る」以外にも、「むげにする」という風に言うこともあるが、どちらも同じような意味である。
それでは、「むげ」を漢字で書くと、「無下」と「無碍」のどちらなのだろうか。
「無下に断る」vs「無碍に断る」
結論としては、正しいのは「無下に断る」である。
「無碍に断る」はよくある間違いだ。
この「無碍」というのは、「邪魔がなく自由自在なこと」や、「障害がないこと」を意味する言葉だ。
というのも、「碍」という字には「さまたげる」という意味があるからである。
詳しくは、下記の記事で説明しているので、ご参考いただきたい。
⇒「碍(石へんに得の右側)」という漢字は何?読み方・意味・使用例 「碍子」「阻碍」「障碍者」など
「無碍」が「邪魔がなく自由自在なこと」という意味であるため、「無碍に断る」とすると、意味的におかしくなってしまう。「自由自在に断る」という意味でもありえなくはないが、腑に落ちない。
結論:正しくは「無下に断る」
「むげに断る」を正しく書くと「無下に断る」となる。
この「無下に」というのは、「そっけなく」とか「むやみに」という意味だ。
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-参考資料-
・『DK漢字辞典』・公益財団法人日本漢字能力検定協会編、『漢検 漢字辞典 第二版』
・阿辻哲次、他、『角川 現代漢字語辞典』、2001年1月31日
・藤堂明保、他偏、『漢字源 改訂第六版』、2018年