酒はコミュニケーションの道具として世界中の人々に愛されてきました。
その背景には、酒によって人間同士のコミュニケーションが円滑になってきた歴史があります。
日本でも、「飲むニケーション」と呼ばれるほど、酒が人間関係の構築に重要視されてきました。
しかし、お酒が苦手だったり、全く飲めない人も一定の割合で存在し、こういったお酒が飲めない人に対して飲酒を強要することが問題となることもしばしば起こってきました。
なぜ、お酒が飲める人と飲めない人が存在するのでしょうか。そして、一般的に日本人がお酒に弱い理由について説明します。
酒に弱い理由 酒が人体に及ぼす影響とは
「酒に弱い」というのは、主に体質によって決まります。より厳密に言えば、遺伝子の問題なのです。
酒が人体に影響を及ぼす仕組みを見ていきましょう。
酒に含まれるアルコールが体内で分解されると、「アセトアルデヒド(acetaldehyde)」と呼ばれる有害な物質が生成されます。
このアセトアルデヒドが人体に悪影響を及ぼし、二日酔いなどの悪酔いの原因となるのです。
そして、人体には、このアセトアルデヒドを分解する酵素も存在します。
これは「アセトアルデヒド脱水素酵素(aldehyde dehydrogenase)」と名付けられ、一般に「ALDH」と呼ばれています。
そして、ALDHの一つである「ALDH2」が特にアセトアルデヒドの解毒作用に寄与するとされているのです。
酒に強い人は人間的に強い?
上述したように、「アルコールに強い」とか「弱い」というのは、人間の体力の問題ではなく、あくまで 「アセトアルデヒド脱水素酵素」 の働きが強いかどうか、ということです。
昔は、お酒が飲める人が「強く」、飲めない人は「弱い」といった偏見もあったようですが、現在こういった見方は時代遅れとなっています。いわば、地動説が唱えられたときの天動説みたいなものです。
お酒が飲めることをさも「偉い」と勘違いする人は、間違いなく「無知」の烙印を押されることになるでしょう。
なぜ日本人は酒に弱い?
一般に、日本人には酒に弱い人が多いとされています。
これは一体、なぜなのでしょうか。
上述した「アセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH)」の一つ「ALDH2」を思い出してください。「ALDH2」は、特にアセトアルデヒドの解毒作用に有効な酵素でした。
このALDH2を作る遺伝子は、12番染色体(chromosome)に存在します。
そして、どうやら今から2万年前程昔に、中国大陸の黄色人種の遺伝子に突然変異が起こり、この酵素を作る働きが弱い人たちが誕生したようなのです。これがいわゆる「下戸」の誕生だと言われているそうです。
日本には、中国大陸から弥生人が渡来したのですが、この弥生人の中に酒に弱い遺伝子を持つ人たちも含まれていたため、日本人も酒に弱い遺伝子を持つようになったとされているのです。
ちなみに、白色人種や黒色人種は、この酒に弱い遺伝子を持たないということです。
つまり、黄色人種以外に酒に弱い遺伝子を持つ人がいないため、相対的に黄色人種である日本人がお酒が弱い人が多い、ということになったわけですね。
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