結構頭がこんがらがるような論理の問題を軽快な説明で解きほぐす、論理学の入門書。
どちらかというと、「論理学の知識を得られる」というよりも、「論理学の考え方」が身につくように構成されている。
分かりにくいことを分かりやすいように説明しているためか、若干説明が冗長な部分がある。先生を持たない独学者の身としては、丁寧な説明なのはありがたいけれど、読後は「分かったような感じ」になりやすいとも感じる。
本書で扱っているのは、決して難題ではないが、簡単な問題でもない。内容を理解するためには何回か読むことが必要だと思う。その際、どこが重要なのか、要点が絞りにくいのが難点。
ただ、上記のように、この本を読むことで「論理学の考え方」に対する理解が格段に高まると思う。特に、「否定」に関する考え方については、目から鱗が落ちた。筆者が「はじめに」で述べるように、この本は論理学の基本的な知識を網羅する本ではなく、論理学の「エッセンス」、つまり考え方を解き明かすような本なのである。
論理学の基本的な知識をサラッと、という目的には本書は向かないかもしれない。けれど、本書を読むことで論理学に向かうための基礎体力がつく、そんな印象である。
ユーモアのある文体で、初学者が飽きないようにやさしく導いてくれる良書だ。
『入門!論理学』
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