岩に登っただけで約9000万円の損害賠償と懲役1年の実刑判決が下されるー。
こんなことが中国で実際に起こった。
ユネスコの世界自然遺産に登録されている中国・江西省の景勝地「三清山」でロッククライミングをしていた中国人の男女3人がこの判決を受けたのだ。これは、国営の中国中央テレビが2020年5月19日に報道したことである。
日本では少し考えられないような判決だ。
しかし、一見重すぎるような判決には、もちろんそれなりの理由があった。
電動ドリルで穴をあける
有罪判決を受けた3人は、「三清山」の128メートルの高さがある奇岩に登っていたそうだ。
そして、その岩に登る際に、なんと電動ドリルで穴を開けていたのだという。電動ドリルで開けた穴に、26本ものハーケンを打ちこんでいたらしい。
これはかなりあくどいことだと思う。
裁判所「国が保護する景勝地を破壊してはならないという警告だ」
この出来事に対し、中国の裁判所は2019年に厳しい処分を下した。
3人のうち1人に懲役1年の実刑判決、そして3人合わせて600万人民元、日本円で約9000万円の損害賠償を命じたのである。
3人は上訴したが、2020年5月18日に高等裁判所はこれを退け、判決は確定したのである。
裁判長は、以下のようにテレビのインタビューに答えたという。
「判決は、3人の行為への厳しい評価であるのと同時に国が保護する景勝地を破壊してはならないという警告だ」
判決は確かに厳しいものかもしれないが、妥当であるとも思う。世界遺産に登録されるような自然遺産を身勝手な理由で傷をつけたわけだから、相応の代償を払うべきだろう。
参考資料:
・『中国 世界自然遺産傷つけたとして9000万円の損害賠償や懲役刑』、NHKニュース、2020年5月20日、https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200520/k10012436991000.html?utm_int=news-new_contents_latest_with-image