2017年11月8日、経営破綻した東京の旅行会社「てるみくらぶ」の社長と当時経理担当者だった男が詐欺などの疑いで逮捕された。
事件の詳細
8日、警視庁は、旅行会社「てるみくらぶ」の67歳の社長と、当時会計を担当していた30代の社員を詐欺や有印私文書偽造などの疑いで逮捕した。
2人は共謀して、虚偽の決算書類を数回にわたって三井住友銀行に提出するなどの手口で、同銀行から現金約2億円の融資を騙し取ったという。
「てるみくらぶ」とは
海外旅行などの格安ツアーを手掛けていた東京の旅行会社。平成10年設立。
ビジネスモデルとしては、大型旅客機の空席を安く仕入れ、インターネットでさばくというもの。
しかし近年は、各航空会社が旅客機の手配を合理化したことや、旅行客自体が代理店を介さずに自分で旅行を手配することが多くなり、業績は低迷していたようだ。
そして、平成26年9月期以降、慢性的な赤字が続くようになる。
しかし、利益の水増しや支出の過少計上などの手口で、帳簿上は黒字に見せかけるという粉飾決算を繰り返していたという。
平成28年9月期には、50億円の営業損失を出していたにも関わらず、決算書類上では1億2000万円の営業利益を計上していたという。
経営破綻の影響
「てるみくらぶ」が契約者ら約3万6000人に対して抱える負債は約100億円にのぼるという。
また、旅行者計8~9万人に影響が出たようだ。
カンタはこう思う
経営破綻する会社が行う典型的な自転車操業の顛末だが、こういう状態が長引けば長引くほど、影響は大きくなる。
今回のケースは、粉飾決算など悪質な手口により、本来は経営破綻していなければならない会社が長い間存続してしまったために、影響が大きくなった。
経営としては、すでに陳腐化し通用しなくなったビジネスモデルにすがってしまった失敗が大きいが、過去の成功体験にしばられるというのは、多くの経営者が陥りがちなものだ。
経営破綻を粉飾決算により乗り切ろうとするのは、例えばエンロン事件が有名だ。
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