ホーム / 野球・選手一覧 / 記事No.003
アスリートの背番号に対するこだわりは如何に?
投稿日:2013年4月16日

ヤンキースで絶対的な守護神であるマリアノ・リベラ(Mariano Rivera)は、2013年を最後に引退することを宣言しています。

リベラの引退は、彼の実績という面でも大ニュースなのですが、実は彼の背番号「42」も注目を浴びています。というのも、メジャーリーグでは、背番号「42」というのは、全球団で「永久欠番」として指定されているからです。

背番号「42」は、近代のメジャーリーグで初の黒人メジャーリーガーであるジャッキー・ロビンソン(Jackie Robinson)がつけていた背番号です。黒人に対する人種差別問題に多大な影響を与えたとされるロビンソンの背番号「42」が全チームで永久欠番となったのは、1997年。ロビンソンのメジャーデビューから50年目の年でした。

ただ、全チームで永久欠番となった時点ですでに背番号「42」をつけていた選手については、背番号「42」を引き続き使用することが許可されました。そして、上記のリベラは、現役メジャーリーガーで背番号「42」をつけている最後の選手なのです。つまり、リベラの引退で、背番号「42」をつける選手が全球団でいなくなることを意味しています。

このことからも、背番号というのは、大きな意味を持つことが分かります。

畏怖される背番号「51」

それでは、日本人選手の背番号には、どういった事情があるのでしょうか。おそらく、日本人メジャーリーガーの背番号として最も有名なのは、背番号「51」だと思います。そうです。イチローがかつてマリナーズに在籍していたときにつけていた背番号です。

しかし、イチローは、2012年にヤンキースに移籍した際に、背番号を長年慣れ親しんだ「51」から「31」へ変更しました。というのも、ヤンキースの背番号「51」は、イチローも尊敬する選手であるバーニー・ウィリアムス(Bernie Williams)がつけていた番号だったからです。会見でイチローは、「51は特別な番号だが、ヤンキースではボクの方からお断りというか、とてもつけることはできない」と述べたそうです。*1

ところで、イチローが在籍していたマリナーズでは、イチローがつけていた背番号「51」はどうなっているのでしょうか。マリナーズでの背番号「51」事情について、詳しい記事を見つけました。スポーツライターの丹羽政善さんが書いた日本経済新聞(電子版)の記事「イチロー、今なお存在感 背番号「51」の行方は」(2013年4月8日)というものです。

記事によると、マリナーズの選手に背番号「51」をつけてみないか、と尋ねてみたところ、尋ねた選手はことごとく「ちょっと、無理」と尻込みしたそうです。若手選手で成長著しいカイル・シーガー(Kyle Seager)は、現在背番号「15」をつけていますが、その番号をひっくり返すことを提案されたシーガーは、「それって、イチローの番号じゃないか。僕は結構、15番が気に入っているから…」と逃げたそうです。また、正捕手のヘスス・モンテロ(Jesus Montero)も、「それは、イチローの番号じゃないか。ちょっと、あの…」と語尾を濁したそうです。*2

また、クローザーのトム・ウィルヘルムセン(Tom Wilhelmsen)によると、「だって、まだ彼の存在感がいろんなところに残っているし、それが強すぎる」と、クラブハウス内の空気を説明し、 「ここにいたメンバーは、ほとんどがイチローとプレーしている。とてもじゃないけど、恐れ多くて……」という感想を漏らしたそうです。*2

マリナーズでは、背番号「51」は「つけるもの」ではなく「飾るもの」になっているそうです。その現在の状況を鑑みると、近い将来、イチローがつけていた背番号「51」も、マリナーズでは永久欠番になる可能性もありそうです。






参考資料
*1)イチロー背番号は「31」 51は「とてもつけることはできない」、http://www.sponichi.co.jp/baseball/news/2012/07/24/kiji/K20120724003747250.html、スポニチアネックス、2012年7月24日
*2) イチロー、今なお存在感 背番号「51」の行方は、http://www.nikkei.com/article/DGXZZO53700660X00C13A4000000/、日本経済新聞(電子版)、2013年4月8日
ホーム / 野球・選手一覧 / 記事No.003