ビデオ判定で明暗?イチローと青木

2014年から、ビデオ判定の適用範囲が拡大され、ホームラン判定のみならず、ボール・ストライク判定を除くほとんどのプレーが対象となる。ただ、チャレンジ方式となったため、監督が異議を唱えられる回数は限られている。

さて、2014年のシーズンが始まって数日が経っただけだが、このビデオ判定に2人の日本人選手が関わった。ヤンキースのイチローとロイヤルズの青木宣親である。

2人とも内野安打における一塁でのアウト・セーフの判定に関するものだった。内野安打に強みを持つ両者ならでは、ともいえる。同じ内野安打に関する判定だったが、2人が受けた結果は正反対のものだった。

ロイヤルズの青木は、4月2日に行われた対タイガース戦、延長10回に内野安打を放った。しかし、タイガースのブラッド・オースマス監督がこの判定に対して異議申し立てし、ビデオ判定を要求。その結果、内野安打の判定は覆り、アウトとなった。

内野安打になっていれば、新天地ロイヤルズでの初安打となるところだったし、延長に入っての貴重な安打となっていたので、青木としては残念だっただろう。もっとも、本人も「たぶんアウトかな、という感じだった*1」とコメントしている。

反対にイチローについては、最初はアウトの判定だったのが、内野安打に覆った。田中将大のデビュー戦となった4月4日の対ブルージェイズ戦で、3回に放った内野ゴロの判定が、ヤンキースのジョー・ジラルディ監督のチャランジにより、内野安打に覆ったのだ。

この判定について聞かれたイチローは「今まで何百本あったですかね。何千本まではいかないですけどね。際どいけどセーフ寄りだとは思った*2」と答えた。過去にも内野安打が誤審でアウトにされてしまったことは度々あった、ということだろうか。

実際、私もイチローの足の方が早いのにアウトにされてしまったケースを何度も見てきた。もちろん、本来はアウトだが誤審でセーフになったケースも見てきたが、本来セーフであったものがアウトになったケースの方がダントツに多い印象を持っている。まあ、「何百本」もあったとは私には思えないけれど、ビデオ判定の導入がもう少し早ければ、イチローのヒット数のみならず、盗塁数や捕殺数も、もっと増えていたと思う。時代の流れとはいえ、少し惜しい気がする。

イチローと青木にとって初となる、チャレンジによるビデオ判定は、両者でまったく正反対の結果となった。しかし、これは最初の機会に他ならない。足を生かしたプレーが多い両選手にとって、チャレンジ制度はこれからも関係が深いものとなるだろう。

参考資料:
*1 「青木「たぶんアウトかなという感じ」」、日刊スポーツ、2014年4月3日
http://www.nikkansports.com/baseball/mlb/news/f-bb-tp2-20140403-1279606.html
*2 「イチロー 40歳激走!「チャレンジ」が呼んだ逆転劇」、スポニチアネックス、2014年4月6日
http://www.sponichi.co.jp/baseball/news/2014/04/06/kiji/K20140406007922300.html

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初投稿日:
2014年4月7日 

更新日:    


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