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【MLB】敬遠では投球しない?メジャーリーグにおける2017年の規則変更

執筆:ダイ

配信日:2017年3月3日

アメリカの大リーグ機構(MLB)と大リーグ選手会は、2017年シーズンからルールを一部変更することを発表した。

今回の変更にはいくつかの項目があるが、一際注目を集めているのは、やはり「敬遠での投球を省略する」ことだろう。

現行では、打者との勝負を避けたり、塁を埋めるなどの意図で打者を歩かせる場合でも、4球ボールを投げて、四球という形で打者を歩かせる必要がある。しかし、今年からは、監督が球審に対して歩かせる旨の意図を示せば、投手が投げなくても打者を歩かせることができる。

このような変更が行われた背景には、MLBが試合時間短縮を目指していることがある。つまり、守備側は打者を歩かせる意図があるのに、形式的に4球もボールを投げさせるのは時間がもったいない、ということだ。

ただ、もちろんこの変更には反対もある。過去には、敬遠の球を打ってしまう打者もいたし、敬遠の球が大きく外れてワイルドピッチになってしまった、という出来事もあったからだ。つまり、守備側が打者を歩かせる意図があったとしても、必ずしもその通りにならないドラマが起こる可能性もあるのだ。基本的に、長年の野球ファンほど、このルール改定には反対している人が多い気がする。

また、目的とする時間短縮についても、効果の乏しさを指摘する人もいる。公式MLBサイトのコラムニストであるアンソニー・カストロヴィンス(Anthony Castrovince)は、去年4,856試合行われた中で、敬遠数が932に留まったことを指摘している。*1

私としては、時間短縮の効果の乏しさに付け加えて、選手の心理面に対する影響を鑑みても、今回の「投げない敬遠」について疑問を感じた。敬遠される打者の優越感や、敬遠された打者の次の打者が感じる屈辱感は、敬遠球が淡々と投げられている時間に醸成されると感じるのだ。

敬遠球を打つとか敬遠球が暴投になるとか派手なドラマがなくても、敬遠球を投げるという動作自体が、選手のプライドや心理に影響すると思うのである。ところが、敬遠投球が省略されると、なんだか事務的な処理に終わってしまうような気がするのは私だけだろうか。

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参考資料:

*1 Anthony Castrovince, Rules changes and modifications: What they mean, MLB.com, http://m.mlb.com/news/article/217676218/what-baseball-rules-changes-mean/