厚生労働省によると、オウムやインコなどの鳥のふんを介して感染する「オウム病」が原因で妊婦が死亡したという。
今回感染が確認された女性は、妊娠24週に発熱のために入院。意識障害などがみられたあと死亡したという。女性の死後に体内からオウム病の原因となる細菌が検出された。
なお、オウム病に感染して妊婦が死亡した例は今回が初めてだという。海外では、高齢者や妊婦がオウム病により死亡するケースが報告されている。
オウム病とは
オウム病とは、人と動物が感染する人獣共通感染症の一つ。
「クラミジア・シッタシ(英語:Chlamydia psittaci、オウム病クラミジア)」という細菌に感染した鳥の糞などを吸い込むことで人も感染することがある。フンの吸引の他、口移しで餌を与えたり、噛まれたりすることでも感染することがまれにあるという。
鳥が感染しても、症状が出ないことが多い。弱っているときや、ヒナを育てている期間に排菌しやすいという。
鳥に症状が出ないことから、気が付かないうちに感染する恐れもある。
オウム病の症状
オウム病に感染すると、1から2週間の潜伏期間の後、急な発熱や頭痛、せきなど、風邪やインフルエンザに似た症状が出て、気管支炎や肺炎を発症。これが重症化すると死亡することもある。
オウム病の年間報告数は1999年に23例、2000年に18例とそれほど多くはないが、上述のとおり症状が風邪や肺炎などと似ているため、オウム病と特定されないこともあるようだ。
オウム病が子供に感染することはあるのか
オウム病は主として、30歳~60歳までの成人に発症することが多く、小児への感染は比較的少ないようだ。
ただ、上述のように、オウム病に感染したと気づかずに異型肺炎として治療されていた可能性も考えられるため、子供も過度に鳥に接するのは控えた方が良いかもしれない。
オウム病を防ぐには
鳥を飼育している場合などは、過度の接触を避けた方がよいだろう。
鳥が弱っていたり、排菌している疑いがある場合は、獣医の診察を受けたり、テトラサイクリン入りの餌を与えたりするなどの措置を取る。
また、人間側の抵抗力の問題もある。妊婦や高齢者は特に抵抗力が落ちている場合が多いので、こういった人獣共通感染症のことを頭に入れ、過度の接触は控えるべきだ。
厚労省も「妊娠中は抵抗力が弱くなる。胎児に影響を与える場合もあるので、ペットなど動物との密接な接触は控えてほしい」と注意している。
参考資料:
・『人獣共通感染症「オウム病」妊婦で日本初の死亡例』、産経新聞、2017年4月9日、http://www.iza.ne.jp/kiji/life/news/170409/lif17040916140009-n1.html
・『感染症の話』、国立感染症研究所 感染症情報センター 公式サイト、http://idsc.nih.go.jp/idwr/kansen/k01_g3/k01_45/k01_45.html