「ジャイアント・ホグウィード」という植物を聞いたことがあるだろうか。
外見的には、それほど特徴があるわけではなく、どちらかというと目立たない感じだ。
しかし、このどこにでもいそうな植物は、実はかなりの曲者なのである。
光毒性で人体に深刻な影響
ジャイアント・ホグウィードには、実は光毒性の物質が含まれている。
「光毒性」の物質とは、皮膚に付着した状態で太陽光や紫外線を浴びると、皮膚炎などの影響を及ぼすものだ。
具体的には、皮膚が赤く腫れあがり、かゆみが出てきたり、水疱が生じるといったものだ。
ジャイアント・ホグウィードの場合、この光毒性が強烈で、数年もの間、肌に残り続けるという。適切な処置には入院さえも必要だそうだ。
また、ジャイアント・ホグウィードの樹液が目に入ると、失明してしまう恐れがあるらしい。
なんとも怖い植物なのである。
こういった人体の皮膚に影響を及ぼすものとして、日本では古くから漆(うるし)が知られている。
しかし、漆の場合は、アレルギー反応が原因である。だから、なめたりして体を順応させる、ということも行われる。
ところが、ジャイアント・ホグウィードの場合は、アレルギーではなく光毒性の樹液が人体への被害の原因なので、原理的には、漆による人体の被害とは別物だろう。
だから、まちがっても、舐めて慣れよう、などと考えてはいけない。
もし、ジャイアント・ホグウィードの樹液に触れてしまったら、直ちに洗い流し、太陽光や紫外線を浴びないように気を付けなければいけない。
ちなみに、人体には深刻な影響を及ぼすジャイアント・ホグウィードの樹液も、豚や牛などの動物には無害であることがあるようだ。
ジャイアント・ホグウィードは日本に生息するか
現在のところ、ジャイアント・ホグウィードが日本に生息するという事実はないようだ。
現在は、ヨーロッパに広く生息し、特にイギリスでは有害植物として認知され、イギリスのロックバンド「Genesis」がジャイアント・ホグウィードを主題とした楽曲を作るほどだ。
元々、ジャイアント・ホグウィードが生息していたのは、コーカサスや中央アジアといわれている。つまり、現在イギリスで生息しているジャイアント・ホグウィードは、過去に海外から持ち込まれた外来種であった。
そのため、日本でもこれからジャイアント・ホグウィードが生息しない、とは言い切れない。実際、日本に根付いた猛毒性の外来種は多いのである(セアカゴケグモやヒアリなど)。
間違っても、身に覚えのない郵便物が中国から届き、その中に得体の知れない植物の種が入っていたとしても、絶対に興味本位で育てるようなことをしてはならない。それが、ジャイアント・ホグウィードの種である可能性もあるのだから…。