2021年10月28日、スイスの『ジュネーブ国際音楽コンクール』のチェロ部門で、日本の上野通明が優勝しました。
なんと、日本人がこのコンクールのチェロ部門で優勝するのは、史上初の快挙です。
上野通明とはどんな人物なのでしょうか。
ヨーヨー・マがきっかけ
上野通明は、1995年に日本ではなくパラグアイで生まれました。父親が外交官で、パラグアイが赴任先だったそうです。
5歳からチェロを始めたそうですが、そのきっかけとなったのは、世界的に有名なチェリストであるヨーヨー・マが演奏する映像を見たことだそうです。
スペインに引っ越してからもチェロの練習を続けていたそうですが、毎日休まず練習していた、ということはなかったそうです。
スペインでは、子供は遊ぶのが一番という考えだったそうで、毎日練習することを強要されていたわけではなかったとのことです。
この考え方は大事ですね。
上野通明の受賞歴
上野通明は、若い頃から才能を発揮しています。
数々の賞を受賞していますが、主なものに以下があります。
2009年には『若い音楽家のためのチャイコフスキー国際コンクール』で、チェロ部門第1位を獲得しています。このコンクールでも、日本人初の1位でした。
さらに、翌年2010年には 『ルーマニア国際音楽コンクール』で、弦楽器部門の第1位に輝きました。最年少での受賞でした。
これだけの実績があったのですから、日本の名門・桐朋学園大学の音楽学部ソリスト・ディプロマコースの全額免除特待生であったのもうなずけます。現在は、ドイツのデュッセルドルフ音楽大に在学中です。
この受賞歴に、今回『ジュネーブ国際音楽コンクール』での優勝が付け加えられることになったわけです。
『ジュネーブ国際音楽コンクール』で優勝
『ジュネーブ国際音楽コンクール』は、1939年に第1回が開催された、歴史あるコンクールです。若手音楽家の登竜門として知られています。
2021年に行われた同コンクールは、75回目になります。
2021年10月28日に行われたチェロ部門の決勝で、上野通明が演奏したのは、ルトスワフスキの「チェロ協奏曲」。3人で行われた決勝で、見事優勝を勝ち取りました。
優勝発表のあとの記者からの取材に対し、 上野通明は以下のように答えています。
「ファイナルに残れたのは運がよかったとしか言いようがありません。」
「大好きな曲を弾けたので十分幸せだったのですが、それがいい結果に結び付いて、本当にラッキーというか、応援していただいた皆さんのおかげです。あたたかい雰囲気の中で気持ちよく弾けたのがすごくうれしかったです。」
「世界中の人々に聴いていただけるようなチェリストになるのが夢なので、その第一歩としてこのような賞をいただき、すごくうれしいです。」
『ジュネーブ国際音楽コンクール 上野通明さん優勝 チェロ部門』、NHKニュース、2021年10月29日