怒って怒鳴るときや、威嚇する際に、「巻き舌」を使う人がいる。
特に、大阪を中心とした関西で、いかつい人やチンピラ、不良の類の人がよく使うようだ。「おんどりゃ」とか「こるあ(コラ)!」といった感じである。
どうやら、「巻き舌」を使うことにより、相手を威圧できると考えているようだが、実はこれ、遺伝的に説明できるのかもしれない。
「巻き舌」は「R」の発音
このように、人を威嚇する際に使われる「巻き舌」であるが、これはラテン語では R の音に相当する。
ラテン語は、現在では非常に限られた場面でしか使われない。しかし、現在でも、ラテン語から派生した言語であるスペイン語などでは、この巻き舌の発音は強く残る。
柳沼重剛という古典学者によると、ラテン語の R は、littera canina、つまり「犬の字」であったという。犬の唸り声に似た音であるというわけだ。
そして、1世紀の風刺詩人ペルシウスによると、威嚇的な人物の態度は「犬の字 r が鼻から響いている」ものだという。
どうやら、昔から人は威嚇する際に、巻き舌を使うことがあったようだ。そして、その音は、どうやら昔から犬の唸り声に似たものであったらしい。
「巻き舌」は、2000年以上も昔の遠いヨーロッパでさえ、「威嚇」に使われていたのである。
ヤンキーが巻き舌を使う理由 猛獣の威嚇のマネ?
犬は怒った時、「グルルルル」と人間の巻き舌に似た音を出す。犬以外の猛獣でも、人間の巻き舌の音のような唸り声を出す動物がいる。
人間は、昔から強い動物を崇めてきた。ライオンなどの猛獣の恰好をしたり、動きを真似たりしてきた。
そうなると、ヤクザやヤンキーなどが怒鳴る際に巻き舌になるのも頷ける。猛獣の唸り声を真似ることにより、相手を威嚇するわけだ。
そして、この慣習(?)は最近始まったことではなく、遠い昔、少なくともラテン語が用いられていた時代から、東洋・西洋を問わず行われてきたことのようだ。
もっとも原始的な、そして動物らしい威嚇方法であると言える。
スペイン語の巻き舌発音
スペイン語では、巻き舌を使うことが多い。だが、これはもちろん「相手を威嚇する」ために使われるわけではない。
スペイン語の巻き舌については、以下が詳しい。
⇒スペイン語の「巻き舌」のやり方と練習方法 「できない」には理由があった!動画での説明