英語を読んでいると、単語そのものは分かっているのに、文章全体がしっくりこないことがあります。
文法が難しいわけでも、知らない単語が多いわけでもない。それでも意味が取り切れない。そういう場面は意外と多いものです。
原因の一つは、英単語を「日本語訳一語」で固定して覚えてしまうことにあります。英語には、見慣れているからこそ誤解されやすい単語があります。ここでは、特にその傾向が強い英単語を取り上げ、どこで理解がズレやすいのかを見ていきます。
facility|「施設」だけでは終わらない語
facility という単語を見ると、多くの場合「施設」という訳語が思い浮かびます。この理解自体は間違いではありませんし、実際その意味で使われる場面も非常に多いです。
ただし、facility はそれだけの単語ではありません。文脈によっては「トイレ」を指すことがあり、さらに抽象的な場面では「才能」や「能力」を意味することもあります。つまり、場所を表す具体名詞から、人の資質を表す抽象名詞まで、意味の幅がかなり広い語です。
「facility=施設」とだけ覚えていると、英文を読んだときに意味がうまくつながらなくなります。なぜこの単語がそうした意味を持つのか、どのような場面で解釈が切り替わるのかについては、下記の記事で詳しく解説しています。
⇒facilityの意味と使い方|施設・トイレ・才能までわかりやすく解説
issue|「問題」と訳すと重くなりすぎる
issue は、日本語ではほぼ反射的に「問題」と訳される単語です。そのため、英文中に issue が出てくると、深刻な事態やトラブルを想像してしまいがちです。
しかし英語では、issue は必ずしもネガティブな意味を持ちません。話題、論点、検討すべき事柄など、「表に出てきたテーマ」を指しているだけの場合も多くあります。単に「取り上げるべき点」という意味で使われていることも珍しくありません。
issue をすべて「問題」と読んでしまうと、文章全体が不必要に重く見えたり、書き手の意図を過剰に深読みしてしまうことがあります。
matter|意味よりも評価が前に出る単語
matter も「問題」「事柄」と訳されることの多い単語ですが、この語の特徴は、意味そのものよりも話し手の判断や評価が含まれている点にあります。
It doesn’t matter.
という表現は、事実として何かが存在しないと言っているわけではありません。「重要ではない」「気にする必要がない」という姿勢を示しています。
matter は、「それが何か」というより、「それがどれくらい重要か」という軸で使われる語です。この感覚をつかめないと、英語の会話文がそっけなく感じられたり、逆に冷たく感じられたりすることがあります。
business|仕事以外の意味の方が目立つこともある
business は「仕事」「ビジネス」という意味で知られている単語です。ただ、実際の英語では、その意味で使われる場面ばかりではありません。
That’s none of your business.
この business は、職業や商売とは関係ありません。「あなたの関わる話ではない」「口を出すべき事柄ではない」という意味です。
business は、「自分が関与する用件」「当事者として扱うべき事柄」を表す語です。経済活動に限定された単語だと思っていると、日常的な英語表現のニュアンスを取り違えてしまいます。
character|外来語のイメージが邪魔をする語
character は、日本語でも「キャラクター」という形で広く使われています。そのため、英語でも架空の人物や個性的な存在を指す語だと思われがちです。
しかし、英語の character は、人の性格や人格、資質を指す場面で頻繁に使われます。また、文脈によっては文字そのものを意味することもあります。
外来語としてのイメージに引きずられると、人物評価や文章の論点を誤って理解してしまうことがあります。
単語は訳語ではなく役割で見る
ここまで見てきた単語には共通点があります。それは、意味が広いこと以上に、「日本語訳を当てはめた瞬間に理解が止まってしまう」という点です。
英語では、単語は単なる意味のラベルではなく、考え方や視点を示す道具として使われます。facility も issue も matter も business も character も、文脈の中でそれぞれ役割を果たしています。
英語を読むときに違和感を覚えたら、その単語を「どう訳すか」ではなく、「なぜここでその単語が選ばれているのか」を考えてみてください。単語の見え方が変わり、文章全体が立体的に理解できるようになります。
