子育てにおいて、「ほめて」育てる、ということが現在の日本では主流になっているように感じる。
一昔前の日本では、「厳しく」育てる、ということが普通だったと思うのだが。昭和では、それこそゲンコツで叩かれながら育つ子供がスタンダードだった。
ほめて育てるのは、確かに良い方法だと思う。子供に自信をつけさせるのは間違いではない。それに、「ほめて伸びるタイプ」というのはほとんどの子に当てはまるのではないか、と思う。
ただし、これは、なんでもかんでもほめていい、というわけではない。
実は、ほめ方を間違えると、子供の成長にとってかなり危険になってしまう可能性もあるのだ。
「成果」や「才能」をほめるのは厳禁
子供をほめる際、例えば「頭がいい!」というほめ方は極力控えた方がいい。
このことについては、現在となっては様々なところで言われていることなので、知っている人も多いと思う。この考えが広く膾炙するベースとなっているのは、キャロル・ドゥウェック(Carol Dweck)による研究、および著書『マインドセット:「やればできる!」の研究』であるようだ。
では、「賢い!」とか「満点取ってえらい!」とほめると何が問題となるのだろうか。
「頭がいい!」・「賢い!」とほめる場合の問題点
子供に対して「頭がいい!」とか「賢い!」とほめる、ということは、それはその子供の現在の才能についてほめる、ということになる。
そうなると、ほめられた子供は、次も「賢い」とほめられることを目指すようになる。そうなると、さらに上を目指そうという意欲がなくなり、むしろ同じレベルに留まって自分の「賢い」という評価を下げないような守りの意識が高くなるそうだ。
つまり、「賢い」とほめられた後、より難しいものに挑戦して失敗して「賢い」という評価が無くなるリスクよりも、現在と同じようなレベルの問題にとどまることで、「賢い」という評価が取り下げられるリスクを減らす、という行動を取りがちになる。
そして、「賢い」とほめられた子供が、難しい問題に直面して、この問題が解けなかった場合、自分に対する「賢い」というラベリングが崩れ、自信を喪失するようになるという。