
2017年12月5日、東京地検特捜部は、助成金約4億3000万円余りを騙し取った疑いで、ベンチャー企業「PEZY Computing」の社長ら2人を逮捕した。
逮捕されたのは、49歳の同社社長と47歳の会社役員の2人。
事件の詳細
東京都千代田区のベンチャー企業「PEZY Computing」の社長と会社役員の2人は、経済産業省が所管する国立研究開発法人「NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)」の助成金の一部を不正に受け取った疑いが持たれている。
騙し取ったとされる額は、約4億3000万余りだという。
東京地検特捜部は、今後不透明な資金の流れについて解明を進めるようだ。
事業費の水増し
逮捕容疑は、NEDOから助成金を受け取る際、事業費を水増しした虚偽の実績報告書を提出したというもの。
スーパーコンピュータ「Gyoukou(暁光)」を開発
「PEZY computing」は、スーパーコンピュータ「Gyoukou(暁光)」を開発したことで知られる。
「Gyoukou(暁光)」は、2017年10月に発表され、計算速度は国内最速、そして世界トップクラスの省エネ性能を誇るという。PEZY Computing が独自開発した最新のメニーコアプロセッサ「PEZY-SC2」をプロセッサとして採用している。
現在、「暁光」は、国立研究開発法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)に設置されている。
11月13日には、スパコンの性能のランキング「TOP500」で国内第1位(世界第4位)、スパコンのエネルギー消費効率のランキング「Green500」で世界第5位を獲得した。
容疑者の男
容疑者は49歳の新潟県出身の医師で、「PEZY Computing」の社長。
新潟大医学部を卒業後、東京大学医学部の附属病院で放射線科に所属した。
1997年には、アメリカのシリコンバレーでベンチャー企業を設立し成功を収めたようだ。
自身がこれまでに立ち上げたベンチャー企業10社の売上高は、累計で1000億円を超えるという。
カンタはこう思う
社長らは詐欺の疑いで逮捕されたということだが、その手口は事業費の水増し請求というもののようだ。
つい最近開発に成功したとされる「暁光」は、高性能でありながら省エネ性能にも優れているなど、高評価を得ていた。
そういう高評価を得た直後の逮捕ということで、少し陰謀めいた裏がありそう、と感じるのは、フィクションの影響を受けすぎだろうか。
いずれにせよ、国産コンピュータの開発に影響が出なければよいが。
エクサスケールの衝撃 次世代スーパーコンピュータが壮大な新世界の扉を開く
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-参考資料-
・『「スパコン」ベンチャー企業社長を逮捕 助成金詐欺の疑い』、NHKニュース、2017年12月5日、http://www3.nhk.or.jp/news/html/20171205/k10011246741000.html?utm_int=news-new_contents_list-items_001
・『スーパーコンピュータシステム「Gyoukou(暁光)」がスパコンランキングTOP500で国内1位(世界4位)・Green500で世界5位を
同時に獲得』、JAMSTEC、2017年11月14日、http://www.jamstec.go.jp/j/about/press_release/20171114/
・『「スパコン」ベンチャー社長逮捕 助成金詐取容疑』、日本経済新聞(電子版)、2017年12月5日、https://www.nikkei.com/article/DGXMZO24265320V01C17A2CC0000/?nf=1