
あるデータによると、日本人の実に90%以上の人が、十分な睡眠をとれていないと感じているそうだ。
短時間睡眠は仕事のできる人間の証、なんて言われていた時代もあった。ナポレオンは、一日に数時間しか寝ていなかった、なんて話を持ち出したり…。
しかし、睡眠時間を削って働く、なんてのはもう時代錯誤もいいところだ。
現在では、ちゃんと睡眠を取れていない人間は、生産能力が落ちるどころか、重大なミスさえも起こしかねないという認識になってきているようだ。会社によっては、昼寝を取ることを奨励するようなところもある。
そして、そんな風潮に追い打ちをかけるような話が出てきた。
なんと、睡眠不足によって、自分はおろか他人の人生をも狂わしかねない事態を引き起こす可能性が分かってきたのである。
睡眠不足の運転は飲酒運転よりも危険
最近、危険運転に対する社会の目が厳しくなってきた。高齢者ドライバーによる事故や、飲酒運転による事故など、センセーショナルな事故が起こるたびに、法律も危険運転に対して厳しくなってきている。
その成果もあってか、現在は飲酒運転をする人は減ってきているような気がする。
しかし、そのような中、衝撃の事実が浮かび上がってきた。
なんと、「睡眠不足の状態で運転するのは、飲酒運転よりも危険」という事実である。
世界中でベストセラーとなった本 Why We Sleep: The New Science of Sleep and Dreams (Matthew Walker著、邦訳『睡眠こそ最強の解決策である
』)に以下の記述がある。
… vehicular accidents caused by drowsy driving exceed those caused by alcohol and drugs combined.
(Walker p. 5)
つまり、眠気でフラフラな状態での運転を原因とする自動車事故は、飲酒(麻薬使用を含む)を原因とするものよりも多い、というのである。
これはアメリカの話であるが、日本でも似たようなものではないだろうか。しかも、アメリカでは、飲酒+麻薬使用を合わせた自動車事故よりも、睡眠不足の状態での運転による事故の方が多いというのである。
睡眠不足の状態で運転するというのは、酩酊状態で運転するよりも危険な場合がある、ということを肝に銘じておきたい。
そのうち、警察の検問で、呼気アルコール量だけでなく、睡眠不足の度合いなども調べられるようになるようになるのかもしれない。