
2017年8月17日、琉球大学の伊澤雅子教授が、長崎県対馬でカワウソを撮影したことを発表した。
日本国内で野生のカワウソの生体が撮影されたのは、1979年に高知県で最後に撮影されて以来で、実に38年ぶりとなる。
今回発表されたカワウソの映像がこれである。
ニホンカワウソとは
ニホンカワウソは、ユーラシアカワウソの亜種とする説と、日本固有種とする説があるようだ。
日本の水族館などで見ることができるカワウソは、ユーラシア大陸に広く分布するユーラシアカワウソか、東南アジア原産のコツメカワウソだという。
乱獲などにより減少
ニホンカワウソは、かつては日本各地の沿岸や河川に生息していた。
しかし、毛皮などを目的とした乱獲や、水質汚染などが原因で激減した。1979年に高知県で最後の生体が確認されて以来、野生でのカワウソの生体は確認されていない。
今回の撮影により、生きている状態のカワウソが確認されたのは、38年ぶりとなる。
カンタはこう思う
カワウソは、日本でも水族館などで見ることができるが、野生のカワウソの確認は、実に38年ぶりだという。
撮影は自動撮影カメラで行われたが、実はカワウソではなく、ツシマヤマネコの生態調査のために行われたものであったようだ。つまり、今回カワウソが撮影されたのは、棚からボタモチだったわけだ。
今回撮影されたカワウソは、ニホンカワウソの生き残りの可能性があるが、伊澤教授によると、「ユーラシアカワウソが約50キロ離れた朝鮮半島から海を渡ってきた可能性も高い」という。
いずれにしろ、野生の生きたカワウソが撮影されたのが久しぶりであることには間違いがないようだ。
ニホンカワウソの生存にも期待
ニホンカワウソに詳しいとされる町田吉彦・高知大名誉教授によると、今回の撮影は、ニホンカワウソの生存に期待が持てるニュースだという。
その理由として、以下を挙げている。
・カワウソは、瀬戸内海のような穏やかな内海では長距離も泳げるが、流れのはやい対馬海峡を泳いで渡るのは難しい。
・ワシントン条約で規制されているユーラシアカワウソを繁殖目的で放すのは考えにくい。
・ニホンカワウソは四国にしか生息していないと考えられていたため、他の地域では十分に調査されてこなかった。
伊澤教授によると、撮影されたカワウソはユーラシアカワウソである可能性が高いようだが、町田名誉教授によると、ニホンカワウソである可能性もあるようだ。
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-参考資料-
・神田明美、小坪遊、『もしかしてニホンカワウソ?対馬で撮影 12年に絶滅種』、朝日新聞デジタル、2017年8月17日、http://www.asahi.com/articles/ASK8K2V23K8KULBJ001.html・五十嵐和大、阿部周一、『ニホンカワウソか 長崎・対馬で撮影 野生下で38年ぶり』、毎日新聞、2017年8月17日、https://mainichi.jp/articles/20170817/k00/00e/040/172000c