錦織、西岡、伊藤、2016年マイアミ・オープンでの激闘の総括

2016年マイアミ・オープン、錦織圭は決勝まで進むも、ノバク・ジョコビッチに完敗し、準優勝に終わった。マスターズでの初優勝は、またもお預けとなった。

錦織が優勝できなかったのは残念だったが、この大会で自身最高位となったことには、自信を持ってもよいと思う。また、他の日本人選手、西岡良仁と伊藤竜馬も、格上に勝利するなど、成果を見せた。特に、西岡は、F.ロペスに勝利するという大金星を挙げた。これからの成長が楽しみである。

酷暑の中行われた2016年のマイアミ・オープンは、いわゆるビッグ4の選手のうち、順調に勝ち上がったのはジョコビッチのみで、アンディ・マレーはG.ディミトロフに敗退、ラファエル・ナダルは棄権、ロジャー・フェデラーは大会開始前の体調不良(ウィルス性胃腸炎)で欠場であった。特に、無類の体力を持つナダルの試合途中の棄権は、今大会の過酷さを物語っているようだった。

上位選手が早々と消え去る中、錦織にも優勝のチャンスが大きくなっていた。特に、順当に行けば準々決勝で当たる可能性のあった、錦織の天敵であるマレーが敗退したことは、大きかった。

もちろん、マスターズ大会がそんな甘い物ではないことは明らかで、マレーの代わりに勝ちあがってきたガエル・モンフィスとの試合も熾烈を極めた。私としては、今大会の錦織の試合で、最もエキサイティングで興奮した試合だった。何回も負けた、と思ったけれど、錦織はなんと合計5回ものマッチポイントを凌いで、勝利を手繰り寄せた。

それにしても、モンフィスが暑さと疲労でフラフラになりながらも、脅威の粘りで巻き返し、勝利目前まで巻き返す場面は、ボクシングの試合さながらの迫力だった。モンフィスに対する大声援は、ガス欠のタンクに給油するかのごとく、モンフィスを甦らせた。いかに応援が選手に力を与えるか、分かりやすい格好の例だった。

モンフィスとのタフな試合で精神的・体力的にかなり消耗したので、疲労が心配されたが、錦織は続くキリオスとの試合も制し、決勝に進むことになった。そして、冒頭でも書いた通り、ジョコビッチと対戦することになった。

決勝戦で、錦織は明らかに精細を欠いていた。ジョコビッチという存在から受けるプレッシャーと、マスターズ大会決勝の緊張、そして連日の熱闘の疲労が影響していたのだろう。試合の終盤では、左太もも・ヒザのあたりの不調を訴え、メディカル・タイムアウトを取るシーンも見られた。

錦織が万全な状態でないにしても、やはりジョコビッチとの力の差は依然あるように感じた。

今大会では、錦織はモンフィスやキリオスなどビッグサーバーと対戦してきたが、サーブでは劣るものの、ストロークで上回っていたので、これらの試合を凌ぐことができた。

しかし、ジョコビッチは、ストローク戦でも錦織を凌駕。錦織もジョコビッチに食らいついて長いラリーが続くこともあったが、底力はジョコビッチの方が上だった。加えて、錦織には大事な場面でフレームショットがあったり、ミスが多く、対するジョコビッチにほとんど致命的なミスは見られなかった。

錦織は何度かブレークに成功するも、直後のサービスですぐにブレークバックを許すことになった。この試合展開が惜しい。これは、以前の試合でも見られた傾向で、このあたりの修正がまだ十分では無かったと思う。ブレークされてもすぐにそれを取り返すのがジョコビッチの強さでもあるのだが。

最後に、左足太ももの下、ヒザの当たりに違和感があったようだけれど、大事に至らないことを祈る。過去には、錦織が腹部や背中の故障を訴え、時にはリタイアする場面も見たことがあるが、左足のヒザあたりの故障については見たことがないように思う。

これから、全仏に向けて、クレーコートの戦いが続き、フットワークが重要になる試合が多くなる。これらの試合に向け、少なくとも悪影響が無いように調整してほしいところだ。

参考資料:
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記事カテゴリ:
テニス Tennis

投稿日:
2016年4月4日

更新日:    


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