ギリシャ語(ギリシア語)を学んだことがある人なら分かると思うが、ギリシャ語には実に様々な種類がある。
例えば、「ドイツ語」といえば、大体ドイツで話されるドイツ語を指し、方言的な扱いとしてオーストリアのドイツ語などがある。
スペイン語でさえ、スペイン本国のスペイン語と、南米のスペイン語、メキシコのスペイン語があるものの、それほど厳密に区別されるわけではない。
しかし、ギリシャ語を見てみると、「現代ギリシャ語」と「古典ギリシャ語」があり、しかも「古典ギリシャ語」は「古代ギリシャ語」と同一ではないのである。しかも、「コイネーギリシャ語」や「聖書ギリシャ語」なるものもある。
これらの区別は、ギリシャ語の文化的・歴史的背景に負うものが多い。
現代ギリシャ語は現代で使われているギリシャ語であることは容易に分かるので、それ以外のギリシャ語についてみてみよう。
古代ギリシャ語とは何か
まず、古代ギリシャ語について。
古代ギリシャ語とは、文字通り古代ギリシャで使われていた言語のことだ。
古代ギリシャとは、大体古代ローマに支配されるあたりまでの時代のギリシャのことを指すようだ。
古代ギリシャ語の分類
古代ギリシャ語は、大まかにいって以下の3つの時代に分類される。
・アルカイック期
大体紀元前8世紀から前6世紀あたりまで
・古典期
大体紀元前6世紀から前4世紀まで
・ヘレニズム期
大体紀元前4世紀から後6世紀まで
古代ギリシャ語と古典ギリシャ語との違い
古代ギリシャ語と似たような名前のものに古典ギリシャ語がある。
古典ギリシャ語とは何だろうか。古代ギリシャ語と同一なのだろうか。
ところが、古典ギリシャ語は、古代ギリシャ語と名称が似ているものの、別の概念である。
厳密に言えば、古典ギリシャ語は古代ギリシャ語の一部なのだ。
上に述べたように、古代ギリシャ語は3つの時代(アルカイック期、古典期、ヘレニズム期)に分類されるが、古典ギリシャ語はこの3つの分類の中の「古典期」に属するものだ。
コイネーとは何か?
コイネーとは、上に述べた3つの時代のうち、ヘレニズム期に属するギリシャ語だ。
コイネーは、「共通の」という意味だ。
現代ギリシャ語の基礎となっている。
聖書ギリシャ語とは何か?
聖書ギリシャ語、もしくは新約聖書のギリシャ語は、すなわちコイネーのことである。
新約聖書がコイネーで書かれたことから、新約聖書のギリシャ語と呼ばれている。
ちなみに、マルクス・アウレーリウスの『自省録』もコイネーギリシャ語で書かれている。