「ヒュッゲ」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
比較的新しく世界に広がった言葉で、元々はデンマーク語です。
ライフスタイルに関する言葉なのですが、現在この言葉の持つ意味が世界中で共感を集めているのです。
「ヒュッゲ」の意味
「ヒュッゲ(hygge)」とは、デンマーク語で「人との関係を大切にしながらも、他人に気を使うことのなく、あたたかでくつろげる居心地の良い雰囲気」といった意味です。
この「ヒュッゲ」という言葉が、2016年あたりから特に欧米でブームになりました。
この言葉が、英語などの他の言語に翻訳されることなくそのまま使われているのは、その語の持つ意味が他の言語にはなかなか置き換えられないからではないでしょうか。
「世界で最も幸福」とされるデンマーク人ならではの概念ですね。
「一人ひとりが自分のライフスタイルを大切にしているからこそ、他人を思いやることができる」ーそういった意味合いがこの「ヒュッゲ」という言葉に込められているのです。
例えば、家族や友達と家でゆっくりくつろぐこともヒュッゲであるし、お茶を飲みながら一人で本を読むこともヒュッゲであるといいます。
なるほど、暖炉を囲みながら、ほのかで優しい明かりの下で、本を読んだり、手編みしたり、といった印象が、確かにデンマークにはあります。
「ヒュッゲ」が注目を集めている理由
「ヒュッゲ」は、2016年度のイギリスの流行語大賞の最有力候補であったそうです。それだけ、欧米で「ヒュッゲ」という言葉が注目されました。
この言葉が流行る背景には、社会に対する人々の漠然とした不安が関係していたのかもしれません。
というのも、2016年には、イギリスは「ブレグジット(Brexit)」など、EU離脱問題などがありましたし、中東からの難民問題もあったのです。
また、ヒュッゲに関する著書も大ヒットしたそうです。
ヘレン・ラッセルの著書『The Year of Living Danishly: Uncovering the Secrets of the World’s Happiest Country』は世界中で大ヒットし、日本でも『幸せってなんだっけ? 世界一幸福な国での「ヒュッゲ」な1年』というタイトルで翻訳されています。
お金の多寡だけでは測れない人々の「幸福度」
「世界幸福度報告書2017」によると、デンマークは幸福度ランキングで2位にランクインしています。ちなみに、1位はノルウェーで、日本は51位です…。
こういったランキングでも証明(?)されている「幸福先進国」のデンマークにみんな学ぶところがあるのかもしれません。
日本は商業的な国で、経済的にはある程度成功したのですが、なかなか社会の閉塞感を打開できずにいます。経済という視点だけでみれば、日本はデンマークに劣るわけではありませんが、幸福度という点で日本が成功しているとは思えません。
幸福になるために必要なのは、あくせく働いてお金を稼ぐことではなく、本当にくつろげる空間でスローな時間を過ごすことなのかもしれません。
・幸せってなんだっけ? 世界一幸福な国での「ヒュッゲ」な1年
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-参考資料-
・『欧米でブームの「ヒュッゲ」で日本人も幸せになれる?』、ニューズウィーク日本版、2017年3月27日、http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2017/03/post-7253.php・『世界幸福度ランキング2017発表、日本の順位は?』、ハフィントンポスト、2017年3月21日、http://www.huffingtonpost.jp/2017/03/21/world-happiness_n_15505470.html