木、缶、木、ワ、凶(のようなもの)、ヒ、ミと書いて、「鬱」というややこしい漢字がある。
おそらく、読むことができる人は多いと思うが、書くとなると知っている人は少ないのではないだろうか。
今回は、「鬱」という漢字について説明しよう。
「鬱」の読み方 音読みと訓読み
「鬱」は、音読みで「ウツ」と読む。
また、訓読みで「しげ(る)」、「ふさ(ぐ)」、「さか(ん)」と読む。
「鬱」の部首
「鬱」の部首は何?と聞かれて、答えられる人は稀だろう。
「鬱」の部首は「鬯(ちょう)」と呼ばれる。
この部首「鬯」が使われる漢字は非常に限られていて、『漢検 漢字辞典 第二版』に掲載されている中でこの部首を使う漢字は「鬯」と「鬱」のみである。
「鬱」の意味
「鬱」は、「草木が群がり、しげる」という意味で使われるが、現代では特に「気分が晴れない、ふさぐ」という意味合いで使われることが多い。
例えば、「気分がふさぐ」の「ふさぐ」は、漢字で書くと「鬱ぐ」である。
「鬱」の書き順
「鬱」は、一見ややこしいように見えるが、よく観察すると書くのはそれほど難しくなく、また書き方を覚えるのも簡単だ。
巷にはいろんな覚え方が溢れているようだが、そんなことを新しく覚える苦労をしなくても、絵のように覚えれば意外と簡単だ。
書き順に沿って説明すると以下のようになる。
まず、上に「木」、「缶」、「木」と書く。本来の書き順であれば、真ん中の「缶」を書いてから、その両隣りに「缶」をはさむようにして「木」を2つ書く。実際に書きながら覚える場合は、その順番に書けばいいだろう。
次に、その3つの漢字の下に「わかんむり」を書く。「わかんむり」とは、カタカナの「ワ」のような形の部首で、「冠」の上の部分としても使われる。
その「わかんむり」の左下に、「凶」のような漢字を書く。その際、書き順としては、まず「コ」の中の「※(こめじるし)」のような部分を先に書こう。
その「凶(に似た)」部分の下に、カタカナの「ヒ」を書く。
最後に、「凶(に似た部分)」と「ヒ」の横に、カタカナの「ミ」に似た文字を書けば終わりだ。
文章にすれば長いが、実際に書いてみると、一見ややこしく見えて、実は結構単純であることが分かるだろう。
それでは、「鬱」を使った言葉を見ていこう。
「憂鬱」とは 読み方と意味
「憂鬱」は「ゆううつ」と読む。
「気がふさぐこと」という意味だ。気分がすっきりしないさまをいう。
「鬱陶しい」とは 読み方と意味
「鬱陶しい」は「うっとうしい」と読む。
「心がふさぎ、気分が晴れないさま」という意味だ。
ところで、「鬱陶しい」を「うっとおしい」と読む(書く)人がいる。
「うっとうしい」と「うっとおしい」、正しいのはもちろん「うっとうしい」の方である。
上にも述べたように、「うっとうしい」は漢字で「鬱陶しい」と書く。この中で「陶」という漢字は「とう」と読み、「とお」とは読まない。なお、「陶」は、「陶芸(とうげい)」の「陶」だ。
「鬱蒼」とは 読み方と意味
「鬱蒼」は「うっそう」と読む。
「草木が生い茂るさま」を表す。あまり良いイメージでは使われない。
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-参考資料-
・『DK漢字辞典』・公益財団法人日本漢字能力検定協会編、『漢検 漢字辞典 第二版』
・阿辻哲次、他、『角川 現代漢字語辞典』、2001年1月31日
・藤堂明保、他偏、『漢字源 改訂第六版』、2018年