2017年5月11日、富良野地方に住む80代と70代の家族3人が有毒な「イヌサフラン」を食べ、食中毒を起こした。
これにより、80代の女性が死亡し、2人が今も入院しているという。
「イヌサフラン」とは
「イヌサフラン」は、ヨーロッパ原産のユリ科の多年草で、「犬サフラン」と表記することもある。学名は Colchicum autumnale で、英語表記は colchicum。
サフランに似た花を開くことからこの名前がついたのだろうか。
葉や種子、鱗茎(りんけい)などに有毒成分コルヒチン(colchicine, C22H25NO6)を含む。
このコルヒチンは、アルカロイドの一種で、痛風などの治療薬として使われるものの、毒性が強く、過剰摂取すると、下痢、嘔吐、腹痛、肝障害、呼吸不全などを引き起こす。
「ギョウジャニンニク」とは
「ギョウジャニンニク」は、ユリ科もしくはネギ属の多年草。「行者忍辱」、「行者大蒜」と表記することもある。学名は Allium victorialis で、英語では longrooted onion。
ニラやニンニクに似た強い臭気を放つ。
食用ではあるものの、イヌサフランを始め、スズランなどの毒草と間違えやすいために注意が必要。
「イヌサフラン」と「ギョウジャニンニク」の区別
北海道の上川総合振興局のサイトによると、「ギョウジャニンニク」の場合は、低地の林内の日当たりのよい傾斜地に生えるという。
また、「ギョウジャニンニク」には強烈なニンニク臭があり、茎は赤紫色を帯びるという。このあたりが区別のポイントだろう。
詳しくは、同局サイトの『富良野保健所管内における食中毒の発生について』を参照にしてほしい。
イヌサフランをギョウジャニンニクと間違えて摂取してしまう事例は多いようだ。
2007年4月には新潟県の男性が、2014年9月には静岡県の男性が、ギョウジャニンニクと間違えて摂食して、いずれも死亡している。
食用だと確信が持てない場合は、摂取すべきではない。
なお、イヌサフランとギョウジャニンニクについては、以下の記事も参考にしてほしい。
身近にある毒植物たち “知らなかった”ではすまされない雑草、野菜、草花の恐るべき仕組み
参考資料:
・『富良野保健所管内における食中毒の発生について』、北海道ウェブサイト、http://www.pref.hokkaido.lg.jp/hf/kse/sho/iha/ihan170515.htm