天の下に口と書いて、「吞(呑)」という漢字があります。
「併呑」といった言葉で使われます。
今回は、漢字「呑」について学びましょう。
「呑」の読み方 音読みと訓読み
「呑」の音読みは「ドン・トン」です。
また、「呑」の訓読みは「の(む)」です。
「呑」の意味
「呑」は、「のむ」、「まるのみにする」という意味を持つ漢字です。
「呑む/吞む」と「飲む」の違い
「呑む(のむ)」は、「飲む」とほぼ同じような意味でも使われます。
例えば、「酒を飲む」とも「酒を呑む」とも言います。
また、「条件を呑む」や「条件を飲む」のように、双方とも「相手の要求を受け入れる」という意味でも使われます。
さらに、「相手を軽く見る」や「相手を圧倒する」という意味でも「呑む」や「飲む」は使われます。例えば、「相手を呑んでかかる」といった形です。
このように、「呑む」と「飲む」は、ほぼ同じように使うことができると考えられます。
「呑舟」とは 読み方と意味
「呑舟」は「どんしゅう」と読みます。
「呑舟」とは、「舟を丸のみにすること」という意味です。
例えば、「呑舟の魚(うお)」は、「舟を丸のみにするような魚」という意味で、「大人物」をたとえる際に使われる言葉です。
「呑波(どんぱ)の魚」ともいいます。
この「呑舟の魚」は、以下のような表現でも使われます。
「呑舟の魚は枝流に游がず」の意味
「呑舟の魚は枝流に游がず(泳がず)」とは、「大人物は小物とは交わらない」という意味の表現です。
似たような表現に「大魚は小池に棲まず」があります。
「網呑舟の魚を漏らす」の意味
「網呑舟の魚を漏らす」とは、「舟を丸のみにするような大魚を網の目から漏らす」という意味から、「大悪人が法の目を潜り抜けて、刑罰から逃れる」たとえとして使われます。
この表現の反対の意味を持つ表現として、有名な「天網恢恢疎にして漏らさず」があります。
「呑舟の魚も水を失えば則ち螻蟻に制せらる」の意味
「呑舟の魚も水を失えば則ち螻蟻(ろうぎ)に制せらる」は、「舟を吞むような大魚であっても、水から離れたら、虫けらにもやられる」という意味で、「大人物も才能にふさわしい地位がなければ、その才能を十分に発揮できず、小物にやられる」という意味で使われる表現です。
「螻蟻(ろうぎ)」の「螻」はケラの意味で、「蟻」はアリのことです。
「呑吐」とは 読み方と意味
「呑吐」は「どんと」と読みます。
「呑吐」とは、「呑んだり吐いたりすること」という意味で、「出したり入れたりすること」もしくは「出たり入ったりすること」という意味でも使われます。
「呑み行為」の意味 「ノミ」の語源
「呑み行為」もしくは「呑行為」とは、「証券業者や商品の仲買人が、取引所を通さずに不正に売買をする違法行為」のことです。
また、「競輪や競馬などで、非法定者が私設の馬券や車券の売買をして利益を得る違法行為」を指すこともあります。
いわゆる「ノミ」の語源で、こういった行為を行う業者のことを「ノミ屋」といいます。
「呑気」とは 読み方と意味
「呑気」は「のんき」と読みます。
「呑気」とは、「物事にこだわらず、また心配や苦労がなく気楽なこと」という意味です。
例えば、「呑気に暮らす」という風に使います。
また、「呑気」は、「のんびりと気の長いこと」という意味で、人の性質を表すこともあります。
例えば、「呑気な人」とよく言いますね。
「呑気」は、「暢気」もしくは「暖気」と書くこともあります。
「併呑」とは 読み方と意味
「併呑」は「へいどん」と読みます。
「併呑」とは、「併せて呑むこと」と書き、つまり「他の勢力を吸収して自分の支配下に置くこと」という意味です。
「併合」と同じような意味です。
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-参考資料-
・『DK漢字辞典』・公益財団法人日本漢字能力検定協会編、『漢検 漢字辞典 第二版』
・阿辻哲次、他、『角川 現代漢字語辞典』、2001年1月31日
・藤堂明保、他偏、『漢字源 改訂第六版』、2018年