
門構え(もんがまえ)に木と書くと、「閑」という漢字になります。
さて、この漢字「閑」をご存知ですか。
「閑暇」や「閑話」などの言葉で使われます。
「閑」の読み方 音読み・訓読み
「閑」の音読みは「カン」です。
また、「閑」の訓読みは、常用外ですが「ひま」「しず(か)」「なら(う)」です。
「閑」の意味
「閑」の意味は、「ひま」とか「いとま」などです。
また、「のどか」とか「しずか」という意味もあります。
せわしない世の中、この「閑」という漢字こそ現代人に必要なのかもしれません。
「閑暇」とは 読み方と意味
「閑暇」は「かんか」と読みます。
「閑暇」とは、「ひまで何もすることがない状態」という意味です。
「閑暇を持て余す」などといいますね。
「閑暇」は、ややもすれば「怠惰」と同じような意味合いに受け取られることもありますが、古代の哲人セネカは、「閑暇の人」こそが英知の人であることを主張しています。
私の愛読書の1つであるセネカ著『生の短さについて』(大西英文訳)に以下の一文があります。
すべての人間の中で唯一、英知(哲学)のために時間を使う人だけが閑暇の人であり、(真に)生きている人なのである。(p.48)
ちなみに、暇を持て余してくだらないことに熱狂することを「怠惰な忙事」であるとセネカは喝破しています。(ちなみに、セネカによるとスポーツに熱狂することも「怠惰な忙事」であるようです…。キビシー!)
セネカのいう「怠惰な忙事」にかまけていないか、私自身も時折自己を見つめたいと思います。
・セネカ著、大西英文訳、『生の短さについて 他二篇』、岩波書店、2010年3月16日
「閑居」とは 読み方と意味
「閑居」は「かんきょ」と読みます。
「閑居」には3つ意味があって、一つは「静かで落ち着いた住居」です。この意味で使われることはあまりないかもしれません。
残りの2つは、「することが無くて暇なこと」と「世俗から離れてのんびり暮らすこと」です。「閑居」はこれらの意味で使われることが多い印象です。
ちなみに、「閑居」は「間居」と書くこともあります。
「閑古鳥」とは 読み方と意味
「閑古鳥」は「かんこどり」と読みます。
「閑古鳥」とは、カッコウ(郭公)の別称です。ですが、カッコウの別称よりも、以下で述べる「閑古鳥が鳴く」という表現で使うことが多い言葉です。
「閑古鳥が鳴く」の意味
「閑古鳥が鳴く」とは、「人の来訪がなく、ひっそりとしているさま」という意味です。特に、店などで客が来なくてさびれている様子を表す表現です。
静かな山でカッコウが鳴く情景から来ているそうです。
「閑古鳥が鳴く」と同様の意味の表現に「門前雀羅(もんぜんじゃくら)」があります。
また、「閑古鳥が鳴く」の反対の意味の表現に「門前市を成す」があります。
「閑散」とは 読み方と意味
「閑散」は「かんさん」と読みます。
「閑散」の意味は、「ひっそりとしていること」です。
「閑職」とは 読み方と意味
「閑職」は「かんしょく」と読みます。
「閑職」の意味は、「仕事が少なく、暇な職務」とか「重要でない役職」という意味です。
「閑職」に就いている人をやや蔑称ですが「窓際族」と呼びます。
「閑話」とは 読み方と意味
「閑話」は「かんわ」と読みます。
「閑話」は、「静かに語らうこと」という意味と、「無駄話」という意味があります。
「間話」とも書きます。
「閑話休題」とは
「閑話休題」とは、「無駄話はこれくらいにして」とか「それはさておき」という意味です。
本などで、本題から外れた記述の後、本題に戻る際に「閑話休題ー」という風に書くことがあります。
元々は、中国の談義で使われた表現のようですね。
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-参考資料-
・『DK漢字辞典』・公益財団法人日本漢字能力検定協会編、『漢検 漢字辞典 第二版』
・阿辻哲次、他、『角川 現代漢字語辞典』、2001年1月31日
・藤堂明保、他偏、『漢字源 改訂第六版』、2018年