去るに力と書いて「劫」という漢字があります。
この漢字「劫」を何と読むか知っていますか。
なかなか見かけない漢字で、漢字検定では準1級に位置付けられています。
「劫」の読み方 音読みと訓読み
「劫」の音読みは、「キョウ」「ゴウ」「コウ」です。
また、「劫」の訓読みは、「おびや(かす)」「かす(める)」です。
「劫」の意味
「劫」は、「おびやかす」とか「おどす」といった意味です。
「劫かす(おびやかす)」とは、「おどかして、こわがらせる」という意味です。
ただ、「脅かす」と書かれることが多いですね。
また、「劫」は梵語(仏教語)でも使われ、「きわめて長い時間」という意味になります。例えば、以下で述べる「永劫」という言葉でも使われます。
それでは、「劫」を使った言葉を見ていきましょう。
「劫奪」とは 読み方と意味
「劫奪」は、「キョウダツ」もしくは「コウダツ」と読みます。
文字通り、「おどして奪う」という意味ですね。
「劫掠」とは 読み方と意味
「劫掠」は、「キョウリャク」と読みます。「ゴウリャク」とも読みます。
これも、上で述べた「劫奪」と同じように、「おどして奪いとる」という意味です。
「劫略」とも書きます。
「永劫」とは 読み方と意味
「永劫」は、「エイゴウ」と読みます。
仏教の言葉で、「きわめて長い時間(の単位)、限りなく長い時間」という意味です。
この「永劫」を使った表現がいくつかありますので、ご紹介します。
まずは「未来永劫」という四字熟語です。
「未来永劫」とは 読み方と意味
「未来永劫」は「みらいえいごう」と読みます。仏教においては、「未来永劫」を「みらいようごう」と読みます。
「未来永劫」とは、「これから未来にわたる、果てしなく長い年月」という意味です。簡単に言うと「永遠」ですが、「永遠」よりも意味を強めた表現だといえます。
「永劫回帰」とは 読み方と意味
「永劫」は、「永劫回帰(エイゴウカイキ)」という用語で使われることがあります。
この「永劫回帰」は、哲学者のニーチェによる思想で、「宇宙のすべての物事は、永遠に繰り返される(回帰する)」という意味です。
この「永劫回帰」は、「永遠回帰」とも呼ばれることが多いです。私が初めて知ったのは「永遠回帰」の方でした。まあ、ドイツ語を日本語に訳したものですから、言い方がいくつかあるのは仕方がありません。
なお、「永劫回帰」は、元々のドイツ語では Ewige Wiederkunft といいます。
ewige は「永遠の」を意味する ewig が変化したもので、Wiederkunft は「帰還」といった意味です。
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-参考資料-
・『DK漢字辞典』・公益財団法人日本漢字能力検定協会編、『漢検 漢字辞典 第二版』
・阿辻哲次、他、『角川 現代漢字語辞典』、2001年1月31日
・藤堂明保、他偏、『漢字源 改訂第六版』、2018年