逆に月と書いて「遡」という漢字があります。しんにょうの点は2つであることに注意が必要です。
この漢字は、例えば「遡及」といった言葉で使われます。
常用漢字にも指定されておりますので、知っておきたい漢字ですね。
「遡」の音読み・訓読み
「遡」の音読みは「ソ」です。
また、「遡」の訓読みは「さかのぼ(る)」、常用外で「む(かう)」です。
「遡」の意味
「遡」には、「さかのぼる」という意味があります。
「遡る(さかのぼる)」とは、「流れに逆らって、もしくは流れとは逆の方向へ向かう」という意味です。
この流れとは、川の流れのように実際に目に見えるもののほか、時間などのように目に見えない概念的なものである場合もあります。
それでは、「遡」を使った言葉を見ていきましょう。
「遡及」の読み方と意味
「遡及」は「そきゅう」と読みます。「さっきゅう」と読まれることもあります。
「遡及」とは、「過去にさかのぼって、影響や効果などがあること」という意味です。
例えば、「法律が遡及して適用された」という風に使います。
基本的に、法律というのは、その制定前に遡って適用されることがありません。
なぜなら、人は、現在時点で制定されている法律にしたがって行動するので、未来に制定される法律によって現在の行動が違法とされるのは無理があるからです。
まあ、当たり前の話ですよね。
このことを「不遡及の原則」といいます。
ただ、この原則にかかわらず、法律やルールなどが遡及して適用される場合もあります。
このことを「遡及適用」といいます。
「遡源」の読み方と意味
「遡源」は「そげん」と読みます。「さくげん」と読まれることもあります。
「遡源」とは、「(水源など)みなもとにさかのぼること」という意味のほか、「物事の本質や根本をきわめること」という意味でも使われます。
「遡行」の読み方と意味
「遡行」は「そこう」と読みます。
「遡行」とは、「川をさかのぼって進むこと」という意味です。
「遡上」の読み方と意味
「遡上」は「そじょう」と読みます。
「遡上」とは、「流れにさからって進むこと」という意味です。
例えば、以下のように使います。
ところで、この「遡上」を「そじょう」と読むのは上に述べたとおりですが、おなじ「そじょう」と読む言葉に「俎上」があります。
さて、この「俎上」、意味が分かりますか?
以下の記事に詳しく説明しましたので、自信のない方は、ぜひ確認しておきましょう。
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-参考資料-
・『DK漢字辞典』・公益財団法人日本漢字能力検定協会編、『漢検 漢字辞典 第二版』
・阿辻哲次、他、『角川 現代漢字語辞典』、2001年1月31日
・藤堂明保、他偏、『漢字源 改訂第六版』、2018年