さんずい偏(氵)に演奏の「奏」と書いて、「湊」という漢字があります。
この「湊」という漢字を知っていますか。
名前や名称で見かけることがある漢字ですね。
「湊」の読み方 音読みと訓読み
「湊」の音読みは「ソウ」です。
また、訓読みは「みなと」「あつ(まる)」です。
「湊」の意味
「湊」は、「みなと」や「船着き場」という意味です。
また、「集まる」という意味もあります。
「輻湊」の意味と読み方
「輻湊」は「フクソウ」と読みます。
「輻湊」の意味は、「物事が一か所に集中し混みあうこと」という意味です。
「輻輳」と書くこともあります。
最近では、通信分野でもよく使われる用語です。通信回路にアクセスが集中して、通信速度が落ちたりすることですね。
「輻湊」「輻輳」を英語で
「輻湊」「輻輳」は英語で congestion といいます。
「湊」と「港」の違いとは
上述したように、「湊」には、「みなと」や「船着き場」という意味があります。
この意味においてよく使われ、同じ読みである「港」との違いは何でしょうか。
「湊」には、「あつまる」という意味があり、そこに「水」を表す「さんずい」が付けられています。
つまり、「湊」には、「海や川などの水路が集まる場所」という意味があります。また、「船が集まる場所」という意味もあります。
これに対し、「港」には、「船が出入りしたり停泊する場所」という意味があります。
ですから、基本的な意味としてはほぼ同じなのですが、「湊」には「集まる」というニュアンスが含まれていると考えられます。
ただ、現在では、「みなと」の意味で使われるのはほぼ「港」の方で、「湊」が使われることはほとんどありません。
ですから、「湊」が使われると古風な印象があります。
そして、「湊」が使われている地名などは多く存在し、その土地の歴史を感じることができます。
「湊」が使われる地名などを見てみましょう。
「湊」が使われる地名など
「湊」は、以下のような地名や建造物で使われます。
兵庫県神戸市の「湊川(みなとがわ)」
この「湊川」を初めて見る人は、なかなか「みなとがわ」と読めないかもしれません。
秋田県の「湊城(みなとじょう)」
昔の地名で「出羽」、現在の秋田県にあった城の名前です。
戦国時代には、出羽の名将・安東愛季(あんどうちかすえ)によって支配されていました。
「十三湊(とさみなと)」
津軽半島にあった湊です。
現在は、「十三湊遺跡」が国の史跡として指定されています。
名前として使われる「湊」
「湊かなえ」という小説家はいますが、実は「湊」という字を人の名前として使うことができるようになったのは最近のことです。
それからというもの「湊」という字が人名で使われることも多くなってきました。
名字(姓)としては、小説家の「湊かなえ」さんが有名ですね。
「湊」が人名で使えるようになったのはいつから?
「湊」が人名として使えるようになったのは、2004年からです。
「湊」を使った名前の例
「湊」(そう、みなと)
「湊太」(そうた)
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-参考資料-
・『DK漢字辞典』・公益財団法人日本漢字能力検定協会編、『漢検 漢字辞典 第二版』
・阿辻哲次、他、『角川 現代漢字語辞典』、2001年1月31日
・藤堂明保、他偏、『漢字源 改訂第六版』、2018年