やまいだれに漢字「豆」を組み合わせると、「痘」という漢字になります。
さて、この漢字「痘」の読み方や意味が何か分かりますか。
例えば「痘痕」などで使われます。
「痘」の読み方 音読みと訓読み
「痘」の音読みは「トウ」です。
「痘」には常用漢字表での訓読みはありません。常用漢字表外では「もがさ」という読みがあります。
「痘」の意味
「痘」には、「もがさ」や「ほうそう」という意味があります。
「もがさ」とは、後に説明する「痘瘡(トウソウ)」の古い呼び方です。「ほうそう(疱瘡)」も「痘瘡」のことを指します。
「痘瘡」は、「天然痘」のことで、昔存在した感染症の1つです。皮膚に水疱や膿疱ができる致死率の高い感染症でした。詳しくは、後述します。
それでは、「痘」を使った言葉を見ていきましょう。
「痘痕」とは 読み方と意味
「痘痕」は、「あばた」と読みます。
「痘痕」の意味は、「天然痘が治った後に皮膚に残るくぼみ」ですが、現在では「ニキビ跡」という意味でも使われます。
「痘痕も靨」とは 読み方と意味
「痘痕も靨」は、「あばたもえくぼ」と読みます。
「靨」とは、「えくぼ」のことで、笑ったときに頬にできる窪みのことですね。
この「えくぼ」を漢字で書くと「靨」となるのですが、より簡単に「笑窪」と書くこともできます。
「痘痕も靨」の意味は、「好きな人の欠点は、長所のように見える」という意味です。通常であれば痘痕は醜く見えますが、好きな人にできた痘痕はえくぼのように可愛く見える、ということですね。
「痘瘡」とは 読み方と意味
「痘瘡」は「トウソウ」と読みます。古くは「もがさ」と呼ばれました。
上でも述べたように、「天然痘」の別名です。「疱瘡」と呼ぶこともあります。
感染力が高い上、致死率も高かったため、昔は恐れられていました。仮に天然痘から回復しても、「痘痕」と呼ばれる醜い傷痕・瘢痕(はんこん)が残ってしまうとても厄介な感染症でした。
天然痘は、このように恐ろしい感染症でしたが、人類が唯一根絶に成功した感染症として知られています。WHOは1980年5月に天然痘の世界根絶宣言を行いました。この宣言以降、天然痘の感染例は出ていないということです。
新型コロナウイルス(Covid-19)も、天然痘のように根絶できればよいのですが…。
「痘苗」とは 読み方と意味
「痘苗」は、「トウビョウ」と読みます。
「痘苗」は、「種痘(しゅとう)」と呼ばれる天然痘の予防接種に用いられた痘瘡ワクチンのことです。
天然痘の病原体を子牛の腹部に接種して、できた膿疱を集め、そこにグリセリンや防腐剤を加えて得ることができました。
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-参考資料-
・『DK漢字辞典』・公益財団法人日本漢字能力検定協会編、『漢検 漢字辞典 第二版』
・阿辻哲次、他、『角川 現代漢字語辞典』、2001年1月31日
・藤堂明保、他偏、『漢字源 改訂第六版』、2018年