脳の仕組みや、人の心理などについて学んでいると、「メタ認知」と呼ばれる概念を見かけることが多い。
最近では、一般的な記事などでも触れられることがあるようだ。
さて、この「メタ認知」、一体どういうものなのだろうか。
「メタ認知」の語源は英語の metacognition
最初に用語についてみていこう。
「メタ認知」という言葉は、metacognition という英語を日本語に訳したものだと考えられる。
cognition は一般に「認知」と訳される語だが、それに meta をそのままカタカナで「メタ」とつけた感じだ。
この meta(メタ)という部分は、「…を超えた」とか「…の上の」という意味だ。なので、文字面だけで判断すれば、「メタ認知」は「認知を超えた認知」、マンガっぽく言えば「超認知」という意味になる。
で、この「認知を超えた認知」というのが何なのか、というと、一般には「認知していることを認知する」という風に説明される。
うーん。どうも言葉遊びの様相を呈してきた。もう少し違った角度から説明してみよう。
「メタ認知」は簡単に言うと「自分を客観視すること」
「メタ認知」を簡単に説明すれば、「自分を客観視すること」だといえる。もしくは、「自分を俯瞰して見ること」だともいえるだろう。
ここで、上述の「認知していることを認知する」という説明を付け加えるならば、「認知している自分を客観的・俯瞰的に認知する」ことが「メタ認知」ということになる。
恐縮ながらフィクションを例に出してみよう。漫画『ゴルゴ13』をご存じだろうか。この漫画に出てくる主人公のデューク東郷は、ずば抜けて高いメタ認知能力を持っていると考えられる。何しろ、デューク東郷は自分の体や思考を自分から切り離されたモノのように客観視して扱うことができるからである。
このデューク東郷のように、メタ認知能力が高い人間は、自分をまるで他人を観察するかのように認識することができる。
別な言い方をすれば、高いメタ認知能力を持つ人間は、主観的に見る自分と他人から見る自分のズレが少ない人間だともいえるだろう。
メタ認知の重要性
メタ認知は、自分自身を自律的に制御するためには必要不可欠な能力であるといえる。
なぜなら、自律的に自己を管理するためには、自分自身の状態を客観的に知る(認知する)ことが必要だからだ。
そういう意味で、現代ではこのメタ認知能力を高めることが重要となってきている。
孫子の有名な言葉に「彼を知り、己を知れば、百戦危うからず」という言葉がある。この言葉が暗に示しているのは、「彼」つまり「敵」を知ることよりも、「己」つまり「自分」を知ることの方が難しい、ということである。
昔から、自分の外よりも内を知ることが難しく、そして重要なことだったのである。
メタ認知に使われる脳の領域「rostrolateral prefrontal cortex(ロストロラテラル前頭前皮質、RLPFC)」
脳には「前頭前皮質」と呼ばれる高次の思考能力をつかさどる部分がある。詳しくは以下の記事で説明しているのでご参照いただきたい。
この中に、rostrolateral prefrontal cortex(ロストロラテラル前頭前皮質)もしくは「RLPFC」と呼ばれる部位があり、どうやらこの部位がメタ認知に活用されるそうだ。