
新型コロナワクチンの接種が、日本でも少しずつ行われるようになってきました。
現在(2020年5月)、日本で承認されている新型コロナワクチンは、ファイザー社が開発したもので、「mRNAワクチン」と呼ばれるものです。
さて、この「mRNAワクチン」とは一体どのようなものなのでしょうか。従来型のワクチンとはどのように異なるのでしょうか。
気になるmRNAワクチンの特徴と安全性について調べてみました。
なお、あらかじめお断りしておきますが、筆者は医薬品の専門家ではありません。あくまで、素人が調べた結果を分かりやすく説明します。
mRNAワクチンって何?
そもそもの問題。一体、「mRNAワクチン」って何なの?という疑問から解き明かさなくてはなりません。
「mRNAワクチン」は、「メッセンジャー・アール・エヌ・エー・ワクチン」と読みます。
新しい技術で開発されたワクチンで、従来型のワクチンとは異なります。
一体どのように違うのでしょうか。
まず、mRNAワクチンがどのように作られるのか見ていきましょう。
mRNAワクチンは以下のような工程を経て開発されます。
・コロナウィルスの遺伝子配列を解析し、解析された遺伝子情報を元に「mRNA(メッセンジャーアールエヌエー)」を生成
・生成されたmRNAを脂質ナノ粒子で包み込む
こうして出来上がったmRNAワクチンを人体に投与すると、体内に抗原タンパク質が生成されるということです。
免疫細胞(T細胞)は、その抗原タンパク質を記憶することで、体内に新型コロナウィルス(Covid-19)が侵入すると、抗体を作り出し、ウイルスを攻撃することができるということのようです。
mRNAワクチンと従来型ワクチンの違い
従来の一般ワクチンでは、トリの卵などで本物のウィルスを培養する必要がありました。この培養の過程で、ウィルスの感染力を無くすわけですね。
このため、ワクチンの開発や製造に時間がかかっていました。
しかし、mRNAワクチンでは、ウィルスの遺伝子を直接解析し、遺伝子の設計図のようなものを作ります。
ウィルスを培養する時間を省くことができるため、ワクチンの開発・製造にかかる時間を大幅に縮小させることができるようになった、ということのようです。
さらに、mRNAワクチンには、「アジュバント」と呼ばれる補助剤が入っておらず、水銀などの保存剤も含まれないそうです。mRNAワクチンの成分は、mRNA と、mRNA をくるむ脂質(脂質ナノ粒子)と、塩類、糖類のみとのことです。
mRNAワクチンは安全か
このように、開発や製造のスピードという面で一日の長があるmRNAワクチンですが、果たして安全なのでしょうか。
実は、mRNAワクチンは、新技術であるが故に、実例に乏しく、安全性が実証されたわけではないようです。
ただし、原理的には、安全であると言われています。
この場合、安全性には、少なくとも2つの側面があります。すなわち、「mRNAワクチンを接種することで新型コロナウィルス(Covid-19)に罹らないのか」という点と、「重大な副作用がないのか」という点です。
まず、最初の点、「mRNAワクチンを接種することで新型コロナウィルス(Covid-19)に罹らないのか」という点については、ほぼ100%安全であると言えます。
というのも、mRNAワクチンに含まれているのは、ウィルスのまわりのトゲトゲの部分(スパイクタンパク質)のみで、ウィルスの遺伝子本体は含まれないからです。
次に、2つ目の点、「重大な副作用がないのか」という点についても、原理上は副作用はほぼ無いと考えられているようです。
というのも、mRNAは核の中に入らず、ヒトの遺伝子に組み込まれることがないからだそうです。そして、mRNAは、細胞に取り込まれてから20秒から20分で分解されるそうです。また、生成されたタンパク質も10日以内に分解され体内に残らないそうです。
こういった理由から、mRNAワクチンが長期的な副作用を持つことは考えにくいということです。
さらに、上述したように、mRNAワクチンの成分は、mRNA と、mRNA をくるむ脂質(脂質ナノ粒子)と、塩類、糖類のみとのことで、成分という面では従来のワクチンよりも安全性が高いと言えそうです。
なお、現在のところ、副反応・副作用が報告された事例は少なく、少なくとも短期的には安全であるようです。