「異常」と「異状」は、両方とも「いじょう」と読みます。
異なる意味でありながら、意味が異なる言葉・熟語を「同音異義語」と言いますが、「異常」と「異状」も同音異義語の関係にあります。
「異常」と「異状」の場合、同音異義語であるばかりでなく、「異」という字が共通であるため、なかなか使い分けにも迷うことが多い熟語であるといえるでしょう。
「異常」の意味:「普通とは違う」「正常ではない」
「異常」は、「普通とは違う」という意味です。
「正常」と対義語の関係にあるのが「異常」、という風に考えると分かりやすいかもしれません。つまり、「正常ではない」ということですね。
しばしば、「限度を超えている」という意味合いでも使われます。
「異常」は英語で abnormal
「異常」は英語で abnormal といいます。abnormal は、日本語でそのまま「アブノーマル」とカタカナで使われることもあります。
「異常」が使われる例:気象 「異常気象」など
「異常」は、例えば気象などに使われます。
「異常気象」という言葉は最近よく聞きますね。
「異常」が使われる例:心理・人柄・行動 「異常な性格」など
「異常」は、人の心理状態や人柄などに使われることもあります。
「異常な性格」とか、「異常な執着心」、「異常な行動」という風に使います。
「異常」が使われる例:機械、点検 「エンジンに異常」など
機械などで、故障などのために正常な働きをしない場合も「異常」を使います。
例えば、「エンジンに異常あり」という形です。
「異状」の意味:「普段とは違う」「いつもと異なる」
「異状」は、「普段とは違う」という意味です。
「いつもはこうなのに、今回はどこか違う」という風な意味合いです。
「異状」が使われる例:病気・体調 「体の異状」など
「異状」は、体調や病気などに関して使われます。
例えば、「体の異状」というと、「体調がすぐれなくて、普段と違う」という風な意味合いで使われます。
つまり、「(普段の)状態とは異なる」ということですね。
ただし、体調であっても、「健康診断」などの結果については、「診断に異常ありませんでした」という風に「異常」が使われます。
「診断結果」というのは、「正常な値」があります。結果の数値が正常な値の範囲に収まらない場合は、正常でない、つまり「異常」ということになるのですね。
「異状」が使われる例:警備・軍隊など 「異状なし」
「異状」は、警備や斥候などでも使われます。
その際、普段とは何も変わったことがなければ、「異状なし」という風に表現されます。
そういえば、昔、『就職戦線異状なし』という映画がありました。若い時の織田裕二が主演の映画で、若者たちの就職での格闘を面白く描いています。
これは、もともと『西部戦線異状なし』というアメリカの映画タイトルからきていますが、私は「異状なし」の表現を見ると、いつも『就職戦線異状なし』を思い出します。
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