牙に鳥と書いて、「鴉」という漢字があります。
この漢字は、鳥がついていることから、鳥に関係する漢字であることは予想できますね。
今回は「鴉」についてご説明します。
「鴉」の読み方と意味
「鴉」は、訓読みで「からす」と読みます。
そうです。あの黒い鳥のカラスです。カラス科の鳥の総称ですね。
近年は、ゴミを漁ったり、時には人を襲ったりするので、嫌われ者の鳥となりました。
カラスを撃退するために、「カラスよけ」の商品なども売られています。
ところで、カラスには「鴉」の他に「烏(鳥ではありません)」という漢字も使いますね。
ちなみに、「鴉」の音読みは「ア」です。こちらの読み方は知らなかった人が多いのではないでしょうか。
でも、「ア」の読み方をする言葉は結構あるんです。後に見ていきます。
また、「鴉」という漢字には、鳥のカラスの意味の他に、「くろ」とか「黒い色のたとえ」という意味もあります。
そういえば、昔、「夜叉鴉」をいう漫画もありました。有名な「孔雀王(くじゃくおう)」という漫画の作者である荻野真が書いた漫画です。
懐かしい…。
なぜ「牙」という漢字を使う?
なぜ、「鴉」という漢字には「牙」が使われているのでしょうか?
カラスに牙なんて…ありませんよね。
実は、「牙」という字は、「ア」という音を表し、この音が鴉の鳴き声を表しているのだそうです。
それでは、「鴉」を使った言葉を見ていきましょう。
「鴉片」とは 読み方と意味
「鴉片」は「アヘン」と読みます。
そうです。あの「アヘン戦争」の「アヘン」です。
ケシの実からとれる麻薬の一種ですね。
ただ、「アヘン」は、基本的にカタカナで書くか、「阿片」の文字が使われることが多いですね。
ところで、「アヘン戦争」が香港の歴史に深いかかわりがあるのを知っているだろうか?下記の記事で詳しく解説しているので、是非ご参照を。
⇒なぜ香港で「1国2制度」が認められているのか イギリスの植民地となる原因となるアヘン戦争に至る経緯とは
「鴉葱」とは 読み方と意味
「鴉」と「葱(ネギ)」という漢字を組み合わせて「鴉葱」とすると「しらいとそう」と読みます。
これは「シライトソウ」というユリ目の多年草のことです。
漢字では、一般に「白糸草」と書きます。花がまるで糸くずを束ねたような形をしているからこの名前がついたそうです。
「鴉雀無声」の読み方と意味
「鴉」「雀」「無声」と書いて、「アジャクムセイ」と読みます。
カラスやスズメの声が無い、と書いてあることからも分かるように、「ひっそりとして音がしない」という意味です。
静寂なさまを表す四字熟語です。
なお、この四字熟語は、蘇軾の詩から来ています。
蘇軾は、中国の宋の時代の政治家です。政治家ですが、彼の名を有名にしたのは、彼の残した詩歌や絵画などです。
また、蘇軾は「水滸伝」で有名な「高俅(コウキュウ)」の元上司だった人だったんですね。
「鴉巣生鳳」の読み方と意味
「鴉巣生鳳」と書いて「アソウセイホウ」と読みます。
カラスの巣から鳳が生まれる、と書いてあるように、「愚かな親からすぐれた子が生まれる」という意味の四字熟語です。
「鳶が鷹を生む」と同じような意味ですね。
「鴉鷺」の読み方と意味
「鴉鷺」、「鴉」と「鷺(サギ)」と書いて「アロ」と読みます。
意味は、漢字そのままで、「カラスとサギ」という意味です。
また、「黒色と白色」という意味もあります。
「鴉」の代わりに「烏」の漢字を使って「烏鷺(ウロ)」と書くこともあります。
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-参考資料-
・『DK漢字辞典』・公益財団法人日本漢字能力検定協会編、『漢検 漢字辞典 第二版』
・阿辻哲次、他、『角川 現代漢字語辞典』、2001年1月31日
・藤堂明保、他偏、『漢字源 改訂第六版』、2018年