さんずい(氵)に「少ない」と書いて「沙」という漢字があります。
「地獄の沙汰も金次第」ということわざの「沙汰」でも使われますよね。
そして、「沙」に似た漢字で「砂」もあります。
さて、「沙」と「砂」は、どう違うのでしょうか。そして、どのように使い分ければよいのでしょうか。
「沙」の読みと意味
「沙」は、音読みで「サ」、「シャ」と読みます。
また、「沙」の訓読みは「すな」、「よな(げる)」、「みぎわ」です。
「沙」の漢字の意味は、以下の通りです。
①すな。いさご。
②よなげる。不純物を取り除く。
③梵語や外国語における「サ」や「シャ」の音の当て字、音写。
「沙」と「砂」の違いと使い分け
「沙」と「砂」は、基本的に同じ意味を持ちます。基本的に同義語なのです。
それのことは、「沙」と「砂」は、共に音読みで「サ」と読み、訓読みで「すな」と読むことにも表れていますね。
ですから、「砂漠」を「沙漠」と書くこともありますし、「流砂」を「流沙」と書くこともあります。
ただ、我々が一般に「すな」と呼ぶものは、「非常に小さな石の集まり」のことです。
そして、「砂」は、「石へん」が使われていることからも分かるように、「小さな石」であることが字面からも良く分かります。
そのため、一般的には「砂」の方が「沙」よりもよく使われます。
「沙」は、さんずいへんがつくことからも分かるように、本来は「川や海岸などにあるとても小さな石の粒」を意味します。さんずいは、「水」を表す部首ですからね。
ただ、上に述べたように、「砂」という漢字がありますので、我々が認識する「小さな石の粒」という意味においては、「沙」の使用頻度としては「砂」に劣ります。
「沙」は当て字として使われる
では、「沙」はどういうときに使うと良いのでしょうか。
「沙」は、「砂」とは違い、梵語、つまり仏教用語で、「サ」や「シャ」の音に対する当て字として使われます。これは、「砂」にはない用法です。
例えば、「沙羅双樹(さらそうじゅ、しゃらそうじゅ)」や「毘沙門天(びしゃもんてん)」などでは、「沙」が使われます。
他にも、かの有名な「シェークスピア」は、漢字で書くと「沙翁(さおう、しゃおう)」なんですよ。知ってました?
このように、「沙」は、梵語をはじめとした外国語の当て字や音写として使われることが多いのです。
名付けで「沙」は人気
上に述べたように、「沙」は当て字としてよく使われますが、人の名前でも「サ」の音としてよく使われます。特に、女の子の名前でよく使われますね。
例えば、「沙羅(さら)」や「理沙(りさ)」などですね。先に述べた「沙翁」も、男の名前ですが、人名でした。
このように、「沙」には、「砂」と同じような意味があるものの、字面的に「すな」を直接的に連想しづらく、柔らかで幻想的なイメージがあります。そのあたりに、人名、特に女の子の名前としてよく使われる傾向があるのではないでしょうか。