「実状」と「実情」は「ジツジョウ」と読みます。同音異義語ですね。
「実状」や「実情」はよく使う言葉ですが、それらの使い分けとなると、結構曖昧な人は多いのではないでしょうか。
実は、数ある同音異義語の中でも、「実情」と「実状」はなかなか区別しづらいのではないかと思います。
今回は、「実状」と「実情」の意味や違い、使い分けについて見ていきましょう。
そこのところの実状は如何に、なんて…。
「実状」の意味
「実状」は、「実際の状況」という意味です。
まあ、読んで字の如く、といった感じですね。
例えば、「被害を受けた地域の実状を調査する」といった形で使われます。
「実情」の意味
「実情」には、主に2つの意味があります。
①偽りのない心、心情。真情。
②本当の事情。ありのままの情況。
①の意味では、例えば「実情を訴える」という風に使われます。
問題は②の意味ですね。この意味において、「実情」は「実状」とよく似ているのです。
では、どうやって使い分ければよいのでしょうか。
「実状」と「実情」の違いと使い分け
「実状」と「実情」は、「実際の事情・情況」という意味においてあまり違いはありませんが、「実情」の方はより「内面的な」意味合いを持つことが多いです。
例えば、『角川 現代漢字語辞典』には以下のように記されています。
「実情」は「家庭内の実情を話す」のように、打ち明け話的な場合に使うことが多く、
『角川 現代漢字語辞典』p.616
この場合、「家庭内の実状」という風に書くと、打ち明け話というよりも、なんとなく役所などに提出する報告書のようです。どちらかというと事務的な印象を受けます。事実を淡々の述べる感じです。
つまり、「実状」には「情」がないんですね。情を挟まない感じです。
まとめ
というわけで、「実状」と「実情」の間には、「実際の事情・情況」という意味において、あまり違いはありません。ただ、「実情」の方は、「より内面的な内情を打ち明ける」といったニュアンスがあります。
また、「実情に訴える」という風な「真情」という意味は、「実情」にはありますが、「実状」にはありません。
こういった相違点を踏まえて、「実状」と「実情」を使い分けましょう。
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