日本では、国名を漢字一文字で表現することがありますよね。
例えば、日本は「日」、アメリカは「米」という具合です。これらは、国名の漢字表記で分かりやすい例です。
しかし、メキシコを「墨」と表記することは知らない人が多いのではないでしょうか。
「墨」と漢字一文字で表記する国は「メキシコ」
メキシコを漢字一文字で表記する場合は「墨」を使います。
ですから、「日墨」といえば「日本とメキシコ」、「米墨戦争」は「アメリカ・メキシコ戦争」ですし、「訪墨」は「メキシコを訪れる」ことです。
しかし、「墨」は通常、音読で「ボク」、また「モク」と読むこともありますが、なかなか「メキシコ」にはつながらないですよね。
ですから、「墨」を目にして「メキシコ」に繋がる人はなかなかいないと思います。
ちなみに、メキシコの母語であるスペイン語では、メキシコのことを「メヒコ」と発音します。
「メキシコ」の全体を漢字で書くと「墨西哥」
「メキシコ」全体を漢字で書くと「墨西哥」です。
つまり、「墨」の表記は「墨西哥」の最初の漢字を取ったものなのですね。
「墨」、「墨西哥」の国名としての由来は?
それでは、なぜメキシコを漢字で書く際に「墨西哥」、もしくは「墨」が使われるようになったのでしょうか。
メキシコが墨の生産地で有名、なんてこともありませんよね。多分。
『精選版 日本国語大辞典』によると、日本では元々、メキシコを指す漢字として「女喜志古」や「墨期矢哥」などが使われていたようです。
なるほど、「女喜志古」の方が、どちらかというと「メキシコ」の音に近いですね。
ですが、明治時代になると、中国で使われていた「墨西哥」の表記が使われるようになったそうです。
まあ、現在では、「メキシコ」とカタカナ表記で書くのが普通ですね。
ちなみに、中国語では「墨西哥」を「モシガ」もしくは「モシゲ」に近い音で発音します(ピンインでは Moxige)。
なお、厳密には、中国語と日本語では「墨」の漢字は少し違います。「黒」の部分が、中国語では「黑」なんですね。
[chat face=”woman” name=”漢字大好き子” align=”right”]へえ、そうなんだ~。
メキシコを漢字で「墨」って書くの。意外~。[/chat]
[chat face=”kanta” name=”カンタ” align=”left”]じゃあ、「スイス」は漢字一文字でどう表記するか知ってる?[/chat]
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-参考資料-
・『DK漢字辞典』・公益財団法人日本漢字能力検定協会編、『漢検 漢字辞典 第二版』
・阿辻哲次、他、『角川 現代漢字語辞典』、2001年1月31日
・藤堂明保、他偏、『漢字源 改訂第六版』、2018年